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On the Production
by 井口健二
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■ラブファイト、フロンティア、その土曜日7時58分、ビバ!監督人生!!、ファン・ジニ、LOOK、レッド・クリフ
その展開自体は、正にさもありなんであって、取り立てて感
心するようなものもないが、まあ全体的には上手く纏められ
ているという感じの作品だ。ホン・サンスほどシニカルでも
ないし、北野武ほどおチャラけてもいない。
ただ何と言うか、筋立てが当たり前すぎて、もう少し捻りが
あっても良いような感じもしたが、これで映画祭での受賞や
興行成績第1位と言うのだから、それはそれで認められてい
るということなのだろう。
共演は、後日紹介する『シルク』にも出ているチャン・チュ
ンニン。彼女は監督が演出したテレビドラマにも主演したこ
とがあるようだ。また、監督の母親を演じているのは実母だ
そうで、その他にもクレジットでは役名と俳優名が同じ人が
散見されたようだ。
つまりその辺はかなりドキュメンタリーな訳で、それも台湾
の観客には受けたのかも知れない。因に、台湾で流された本
作の予告編は、エディスン・チャンの謝罪会見をパロディに
したものだそうで、かなり強烈だったようだ。
『ファン・ジニ』“黄真伊”
NHK−BS2で放送中の韓国ドラマと同じ題材を扱った映
画作品。
ただし、テレビドラマの脚本は史実に基づいたオリジナルの
ようだが、映画版は北朝鮮の作家ホン・ソクチュンの原作を
映画化したものとなっている。このため本作の製作では、最
初に北朝鮮との交渉から始まったと言うものだ。
物語の背景は、16世紀の朝鮮王朝時代。男尊女卑、身分差別
も厳しいこの時代に、妓生の身でありながら文芸に優れ、天
才詩人として世に名を残した女性の物語。伝説の中では、そ
の色香によって役人を手玉に取り、修業僧を破戒させたりも
したという。
そんな女性の生涯が2時間21分に纏められている。と言って
も、テレビでは全24回を掛けて放送されるほどのエピソード
の持ち主だから、物語は波乱万丈。とにかく息を付く暇もな
いほどの次から次への展開となる。
現在は朝鮮人民共和国の南部の都市・開城、松都とも呼ばれ
るこの町で両班(貴族)の家に育ったファン・ジニは婚礼を
控えたある日、自分の出自を知ってしまう。そして婚約を解
消された彼女は、自ら妓生の道を選びその最高峰を目指して
行く。
そんな彼女の傍らには、彼女が幼い頃から慕っていた奴婢の
ノミや、乳母であり文芸の師匠であった女性などが従ってい
た。そして彼女は、妓生でありながら相手をする男を選び、
高慢な男には詩作で仕返するなど、思うが儘の人生を送って
行くが…
これに義賊のような強盗団や、それに対する役人たちの政治
的な思惑や、彼女が落とすことのできなかった儒学の高僧な
ど、いろいろな出来事が重なって物語は進んで行く。
主演は、日本映画をリメイクした『僕の、世界の中心は、君
だ。』などのソン・ヘギョ。ノミ役には『リベラメ』などの
ユ・ジテが扮している。またこの作品は、韓国の劇映画とし
ては初めて北朝鮮の金剛山などにロケーション撮影されたこ
とでも話題になったようだ。
監督は、メロドラマからスリラー、アクションと、次々に新
しい分野に挑戦するチャン・ユニョンの第4作。初の歴史ド
ラマへの挑戦では、松都の夜を彩る提灯祭り、当時の遊郭の
様子、さらにいろいろな儀式や様式なども細心の注意を払っ
て再現されている。
『LOOK』“Look”
1997年『マウスハント』や、1998年『スモール・ソルジャー
ズ』などの脚本でも知られるアダム・リフキンによる2007年
脚本監督作品。全編が監視カメラの映像という構成で描かれ
た作品で、画質や色合いも違ういくつもの映像が重なり合っ
て物語を繋いで行く。
そこに登場するのは、ショッピングモールのバックヤードで
女を漁る管理職の男であったり、教師を誘惑する女子高生で
あったり、職場でイジメにあっている男であったり、深夜の
ガスステーションであったり、いろいろなものがすれ違いな
がら描かれる。
これらの役柄を、2007年ドウェイン・ジョンスン主演“The
Game Plan”に出演のハインズ・マッカーサーや、2002年の
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08月03日(日)
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