ID:47635
On the Production
by 井口健二
[460285hit]

■真木栗の穴、アメリカばんざい、ダークナイト、ボーダータウン、マルタのやさしい刺繍、ハンコック、ブロードウェイ♪…、ブタがいた教室
を踏まえた作品のようだ。
物語は、その事件の現地レポートを、ジェニファー・ロペス
扮するシカゴの新聞社に勤める女性記者が命じられるところ
から始まる。
彼女はメキシコ出身者で、過去にはそこでスクープをものに
し報道賞を受賞してシカゴにやってきたのだが、その地には
そのスクープを共に追った同僚が、現在も反政府系の新聞社
を運営していた。
そしてその地で取材を開始した女性記者は、偶然生還した被
害者の女性を保護し、事件の真相に迫って行くが…
報道が国家権力によって圧殺されるというのは、いろいろな
条件下でよく語られる物語だが、特に貿易経済が絡むと、事
は個人から国家レヴェルまで多層に渡るから、この事件のよ
うなことも起こりうると思えてくるところだ。
しかも本作に関連しては、製作も担当したロペスが国際アム
ネスティから顕彰も受けたというのだから、これは本物だろ
う。因にこの地域には、日本企業も多数進出しているとのこ
とで、日本も事件に加担しているとも考えられるものだ。
共演は、アントニオ・バンデラス、マーティン・シーン。
また被害者の女性役を、マヤ・ザパタという新進のメキシコ
人女優が演じている。
脚本、監督はグレゴリー・ナヴァ。ナヴァはこの事件を数年
に渡って取材し、その結果をロペスに相談して実現した作品
とのことだ。

『マルタのやさしい刺繍』“Die Herbstzeitlosen”
夫に先立たれた老境の女性が、若い頃からの夢を追求し始め
たことから巻き起こる波紋を描いたスイス映画。
主人公のマルタは80歳、長年連れ添った夫に先立たれ、人生
の支えを失って何もできなくなってしまっている。しかしあ
る切っ掛けで彼女は、結婚によって諦めていた若い頃の夢を
思い出す。それは手造りのランジェリー・ショップを開くこ
とだった。
その夢を思い出したマルタは、若い頃に恋人を追って渡米し
たことが自慢の進歩的なリージや、夫の介護に追われている
が自立も目指しているハンニ、さらに先輩未亡人のフリーダ
らの協力で、夢を実現するための行動を開始するが…
そこはスイスの田舎町の物語、町の牧師であるマルタの息子
や、政治団体のリーダー格のハンニの息子たちは、ランジェ
リー・ショップの開店は町の伝統を壊すと猛反発、いろいろ
な妨害を始める。だがそれはかえってマルタたちの結束を固
めてしまうのだ。
と言う、まあ最近の年配の女性たちの元気さを象徴するよう
な作品だが、これにスイスの伝統的な刺繍、ヨーデル、さら
に大自然の風景なども絡めてローカル色豊かな物語が描かれ
ている。
共同脚本と監督のベティナ・オベルリは、スイス出身1972年
生まれの女性で、長編監督は2作目。以前にはニューヨーク
のスティーヴ・ブシェミの許で彼の監督作品の編集などを手
掛け、スイスに帰国後にテレビ局に勤める傍ら短編映画など
も監督している。
女性の視点が活かされた作品であることは確かだが、多分、
僕らが考える以上に保守的なスイスというお国柄に対しても
多少の皮肉が込められているようにも感じられる。特に、保
守的な男性に対してはいささか厳しいようだ。
出演は、いずれもスイスのベテラン女優たち。中でもマルタ
役を演じたシュテファニー・グラーザーは初舞台が1939年、
「グレート・レディ」とも呼ばれる人気者とのことだが、実
は常に脇役を演じてきて本作が初の主演作品だそうだ。
2006年の本国公開時には、『ダヴィンチ・コード』、『PO
TCデッドマンズ・チェスト』を抜いて興行No.1を記録した
作品となっている。

『ハンコック』“Hancock”
素性は不明、犯罪撲滅に協力してはいるものの、Too Muchな
パワーを持て余し、行く先々でトラブル続出のスーパーヒー
ローを描いた作品。
ウィル・スミス主演の最新作で、アメリカでは主演作が8作
連続となる1億ドル突破の興行を達成している。
何しろ、飛び上がるときは一緒に周囲のものを吹き飛ばし、
着地点では道路の舗装は目茶苦茶、地面に大きな穴を穿って

[5]続きを読む

07月13日(日)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ

[4]エンピツに戻る