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On the Production
by 井口健二
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■第160回
選ばれる脚本家には、かなりのプレッシャーになりそうだ。
 なお、グリシャム原作の法廷もの以外の作品では、2004年
に“Christmas with the Kranks”というコメディ作品が、
クリス・コロンバス脚本、ジョー・ロス監督で映画化された
が、日本では未公開で終っている。基本的にコメディの日本
公開は厳しいところがあるが、本作はどうだろうか。
        *         *
 『ランボー』や『ソウ』シリーズなども手掛けるライオン
ズゲート社が、スチュアート・ギブスという作家のデビュー
長編“The Last Equation”の映画化権獲得を発表した。
 小説は、E=MC²の方程式などでも知られるアルバート
・アインスタインが最後に考察していたとされる「パンドラ
方程式」の謎に迫るもの。その方程式は、原子力の利用を容
易にして、エネルギー問題を根本的に解決できるものだが、
その一方で原爆の製造も簡単にし、その悪用を恐れたアイン
スタインは、一旦解いた方程式を死の直前にすべて破棄した
とも言われているものだ。
 そして小説では、その方程式が再発見され、それを悪の組
織より先に解くために、逃亡中の犯罪者と数学の天才に助け
が求められるとなっており、『ダ・ヴィンチ・コード』のよ
うな一種知的なゲームが描かれることにもなりそうだ。
 またこの脚色には、前回ワーナーと宇宙SFのオリジナル
脚本“The Ditch”の契約を紹介したサッシャ・ペンの起用
が発表されている。因にペンは、2006年に“Unknown”と題
した別の脚本をライオンズゲート社に売り込んだことがある
そうで、それを気に入っていた同社の幹部が今回の起用を決
めたとしている。
 元々はドキュメンタリーの製作者という紹介のペンだが、
ホラー作品のリメイクを手掛けたり、SF/ファンタシー系
にも詳しいようだ。ちょっと期待して見ていたい。
        *         *
 テリー・ギリアム監督が、2000年に撮入後、挫折した映画
“The Man Who Killed Don Quixote”の撮影を、2009年に再
開するとの情報が伝えられた。
 この挫折に至る経緯は、ドキュメンタリー映画“Lost in
La Mancha”にもなったが、当時紹介された挫折理由の一つ
には、ドンキホーテ役で出演していたフランス人俳優ジャン
・ロシュホールの体調不良が挙げられていた。そして今回の
情報は、その役柄をイギリス人俳優のマイケル・ペイリンと
話し合っているというものだ。
 なおギリアムとペイリンはモンティ・パイソン時代からの
盟友でもあるが、実はペイリンは今年2月に映画界からの引
退を表明しているそうで、今回の情報ではその去就も注目さ
れている。しかし情報源のイギリス紙によると、ギリアムは
「ペイリンは映画にカムバックして、最高のドンキホーテを
演じてくれるはずだ」として、実現を確信している様子だと
いうことだ。
 この計画の再開の噂に関しては、クリストファー・リーが
ドンキホーテ役に立候補したなど、過去にも何度も報じられ
てきたが、いつも空振りだったもので、今度こそ実現となっ
て欲しいものだ。
 なお相手役には、もちろんジョニー・デップの再登場が予
定される計画だが、デップは、急遽出演したギリアム監督の
“The Imaginarium of Doctor Parnassus”に続いては、予
定通りマイクル・マン監督の“Public Enemies”の撮影に入
っており、その後は“Shantaram”“The Rum Diary”、また
“Sin City 3”“Dark Shadows”(ティム・バートン監督?)
など噂の計画も目白押しで、全ての計画が実現したら、その
スケジュール調整も大変になりそうだ。
        *         *
 お次は、往年のスーパーヒーローの映画化で、1930年代に
コミックスと連続活劇でも人気を博した“Flash Gordon”の
映画化権を、現在版権を所有しているハースト社からソニー
が争奪戦の末に獲得したことが発表された。
 この計画については、2004−05年頃にスティーヴン・ソマ
ーズ監督、ユニヴァーサル製作で進められていたことがあっ

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06月01日(日)
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