ID:47635
On the Production
by 井口健二
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■セルラー・シンドローム、バカバカンス、敵こそ我が友、キング・ナレスワン、ミー・マイセルフ、ST3、シチズン・ドッグ、ダイブ!
れた。
当時のアユタヤは交易で栄えていたようだが、軍事的に優位
に立つビルマの支配下に置かれていた。しかしビルマ国王の
崩御に伴い各地で反乱が勃発。最初はその制圧に力を貸して
いたナレスワンだったが、やがてアユタヤの独立を目指すよ
うになる。
しかもナレスワンは、ビルマでの人質(国王の養子という名
目だった)時代に戦術などの軍事的な教育を受けており、そ
れを基礎にさまざまな戦術を編み出し、それが功を奏して行
くことになる。
この辺の状況は、第2章だけを観ていると多少判り難いが、
そういうことだったらしい。
そして映画の物語は、最初は戦術に長けただけの軍師であっ
たナレスワンが、国王としての資質を高め人望を集めて行く
様なども描かれて行く。この辺の人間描写はかなり分厚くし
っかりと描かれているものだ。
さらに映画では、幾多の戦闘も描いて行くことになるが、こ
れがタイ映画に特有の、特に火薬などの物量を注ぎ込んだも
ので、迫力と言うか、本当に大丈夫かというシーンも続出す
る凄まじいものになっている。
因に、映画の製作にはタイの軍隊も協力しているようで、戦
闘シーンの迫力は正に本物。さらに主人公のナレスワンを演
じているのも、実際の陸軍少佐という人だそうだ。しかしこ
れが実に逞しく歴史上の大王を見事に演じ切っている。
この他には、タイの人気モデル兼俳優や、ロック歌手という
人も出演しているが、男優も女優も身体はちゃんと動くし、
特にヒロインを演じた女優の弓を射るシーンの凛々しい姿は
気持ち良く楽しめるものだった。
また山田長政も登場するが、これはちょっとコミカルな表現
で、映画の中ではコメディリリーフ的な扱いとなっている。
この役は現地在住の矢野かずきという人が演じているが、こ
の人はタイ版の『ウルトラマン』にもレギュラー出演してい
るようだ。
ただし史実に従うと、長政とナレスワンは直接には出会って
いないようだが、当時のタイに戦国時代の日本を離れた武将
は既に数多くいたようで、エンターテインメントとして判り
易くしたということでは認められる範囲だろう。このため扱
いも上記のようであったとも思われる。
東南アジアの歴史というのは、僕らにはあまり良くは判らな
いところで、その辺のことをこのような映画作品で教えても
らえるのは嬉しいことだ。時間が合えば映画祭で第1章も見
たいと思っている。

『ミー・マイセルフ/私の彼の秘密』“ขอให้รักจงเจริญ”
5月31日に開催されるタイ式シネマ・パラダイスの1本とし
て上映される作品。
タイの映画の特徴として、いわゆるゲイの人がかなり頻繁に
登場する。実は今回の試写会で鑑賞した作品では、その傾向
の作品は少なかったのだが、本作は正にそのテーマの作品と
いうことになる。
物語は、キャリアウーマンの女性を主人公に、彼女が偶然に
起してしまった交通事故の被害者の男性の面倒を見る羽目に
陥るところから始まる。その男性は実は事故の前に何者かに
襲われていたらしく、その影響で記憶を喪失していたが…
女性の主人公は、以前に同棲していた男性と別れた経験があ
り、その後は仕事一筋で実績を上げ、ついに独り立ちの仕事
も任せられるようになっていた。そしてそれまでの過去を引
き摺っていた彼女は、男性の登場で徐々に自分らしさを取り
戻して行く。
一方、男性には記憶喪失の境遇から正に自分を取り戻すこと
が必要だったが、それには彼女との絆を損なう危険が伴って
いた。
まあ、元々のテーマが上記のものなので、いまさらネタバレ
ということにはならないかもしれないが、つまり映画はオカ
マを好きになってしまった女性の物語となる。そこにはいろ
いろ微妙な問題もからんでくるが、物語としてはそれなりに
面白いものになっていた。
ただ、最初に書いたようにタイ映画にはゲイの人がよく登場
するので、それなりに市民権があるのかと思っていたら、こ

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04月27日(日)
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