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On the Production
by 井口健二
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■フールズ・ゴールド、シューテム・アップ、サンシャイン・デイズ、百万円と苦虫女、あの日の指輪を待つ…、シークレット・サンシャイン
た彼女は海の家でアルバイトを開始する。そこには彼女に気
を掛ける若者の男性客などもいて、それなりの暮らしが始ま
るが…
次に彼女が現れたのは、山間の桃農園が並ぶ過疎の村。そこ
で彼女は桃農家に住み込みで収穫を手伝うことになる。とこ
ろが、老人ばかりの村で彼女は外部へのPRのための桃娘に
なることを頼まれる。
3番目に彼女がやって来たのは地方都市。そこで彼女は部屋
を借り、ホームセンターの種苗売り場のアルバイトを見つけ
る。そこには同い年の男の先輩アルバイターがいて、住まい
の近かった2人はやがて互いの部屋を行き来し始める。
ところがその職場に新人の女性アルバイターが配属され、男
は主人公に金を無心するようになって…。これに主人公の弟
との手紙の遣り取りや、その弟が学校でいじめに遭っている
エピソードなどが挿入されて、物語が進んで行く。
作品は、最初に蒼井優の主演で映画を作るという企画があっ
て、それから物語が作られたようだ。従って、主人公の女性
は蒼井のイメージにピッタリと填っている。その点は蒼井の
ファンにもアピールしそうな作品だ。
それに物語は、意外と細部にも拘わっていて、例えば最初の
前科者にされてしまうエピソードでは、警察側の説明にも納
得できて面白かったものだ。
蒼井以外の出演者は、森山未来、ピエール瀧、竹財輝之介、
齊藤隆成。他に、笹野高史、嶋田久作、モロ師岡、佐々木す
みえらが共演している。
脚本監督は、昨年の映画『さくらん』の脚本を手掛けたタナ
ダユキ。女性監督が、女性らしい感性で作り上げられた作品
でもある。

『あの日の指輪を待つきみへ』“Closing the Ring”
シャーリー・マクレーン主演、リチャード・アッテンボロー
監督で、戦争に翻弄された男女を描いた作品。
物語の背景は、50年の歳月を挟む1941年と1991年。41年はい
うまでもなく太平洋戦争勃発の直前であり、91年は北アイル
ランドがまだ紛争の真っ只中という頃のことだ。
その1991年、北アイルランドの首府ベルファストを望む山の
山腹を1人の男性が発掘している。そこには第2次大戦中に
アメリカ軍の爆撃機が墜落したのだという。そして、そこで
発見された1個の指輪に彫られた刻印から、1人のアメリカ
女性の所在が判明する。
一方、1941年のアメリカでは、3人の男性と1人の女性が交
際していたが、彼女の心はその内の1人に定まっているよう
だった。
そして1991年のアメリカで、その女性は夫の葬儀に出席して
いる。しかし、あまり悲しそうなそぶりを見せない女性の態
度に実の娘が苛立ちを隠せないでいる。そしてそこには、昔
の仲間の1人だった男性の姿もあった。
こうして50年の歳月を挟んだ壮大なドラマが展開される。そ
こには戦争によって翻弄される男女の姿があり、また紛争に
よって追いつめられた若者の姿もあった。
日本人としては、日米の開戦が報じられるシーンには感慨を
持つが、直接それがテーマとなる物語ではない。しかしその
戦争によって人々の心が踏みにじられて行く。それは、闘い
の場所がどこであっても関係ないことだ。
映画はこれらの物語を、実に巧みな構成で描き出して行く。
しかも、そこにはいろいろな謎が存在し、その謎が徐々に解
き明かされて行く。その謎は、過去や現在のいろいろな事象
に関るものであり、その謎解きの答えにも心にしみるものが
あった。
また航空機ファンには、山腹から発掘される品々にも興味を
曳かれるかも知れない。とにかくいろいろな要素が盛り込ま
れた作品だ。
因に、北アイルランド紛争は2005年に終結宣言が出されてい
るが、一部強行派は今でも闘争を続けているようだ。しかし
現状は、この映画に描かれたようなものではないようで、物
語はあくまでも1991年の話となっているものだ。
マクレーン以外の出演者は、クリストファー・プラマーと、
テレビシリーズ“The O.C.”が評判のミーシャ・バートン。
他に、ネーヴ・キャンベル、イギリスのピート・ポスルスウ

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04月06日(日)
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