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On the Production
by 井口健二
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■第156回
がりを感じさせた作品だが、その次の作品にロバーツを呼ぶ
というのも大胆なことだ。
* *
2月1日付の第152回で紹介したオリヴァ・ストーン監督
が、現アメリカ大統領ジョージ・W・ブッシュの人生を描く
作品で、現大統領役にジョッシュ・ブローリン、夫人役にエ
リザベス・バンクスと、父親の元大統領役にジェームズ・ク
ロムウェル、その夫人役にエレン・バーンスティンが報告さ
れ、4月末からの撮影スケジュールが発表された。
因に題名に関しては、当初ストーン監督は“Bush”として
いたものだが、最近の会見では“W”と呼んでいるそうだ。
アルファベット1文字の題名では、戦前にはフリッツ・ラン
グ監督の『M』、戦後はコスタ=ガブラス監督の『Z』など
が有名だが、それに続く名作の誕生となるのだろうか。
脚本は、1987年『ウォール街』でもストーン監督と組んだ
スタンリー・ワイザー。製作は、『ワールド・トレード・セ
ンター』『アレキサンダー』のモリッツ・ボウマンと、『ア
レキサンダー』と“Pinkvill”を担当していたジョン・キリ
ク。さらに3月2日付で作品紹介した『ハンティング・パー
ティ』のビル・ブロックも参加している。
公開は、出来るだけ11月の大統領選投票日前を目指すが、
遅くとも来年1月にブッシュ大統領がホワイトハウスを離れ
るまでには世に出したいとしている。ただし、配給会社はま
だ未定のようだ。
* *
後半は、SF/ファンタシー系の情報を紹介しよう。
まずは、1984年にデヴィッド・リンチ監督で映画化された
たことのあるフランク・ハーバート原作“Dune”(デューン
/砂の惑星)の映画版リメイクが計画されている。
計画しているのは、パラマウントに本拠を置く製作者のケ
ヴィン・マイシャーと、2000年にSci-Fiチャンネルで、同作
及びその続編“Children of Dune”のテレビミニシリーズ化
を手掛けたリチャード・ルーベンスタイン。そしてこの計画
に、今年7月にソニーからウィル・スミス主演のスーパーヒ
ーロー作品“Hancock”の公開が予定されているピーター・
バーグ監督の参加が発表された。
因に、バーグ監督と製作者のマイシャーは、2003年にバー
グ監督の第2作で、ザ・ロック主演のアクション映画『ラン
ダウン』をユニヴァーサルで手掛けて以来の固い絆に結ばれ
ていたのだそうで、俳優出身で監督の実績もさほど多くない
監督に、この大作はかなり思い切った起用になるようだ。ま
た脚本は、現在検討中とのことで、ヒューゴー/ネビュラ両
賞受賞のSF名作に挑む脚本家が求められている。
ところで1984年の映画化は、ディノ・デ=ラウレンティス
の製作総指揮で行われたもので、スタッフにはヨーロッパの
映画人が多数起用され、ヨーロッパ映画の風格を持った見事
な作品だった。実際、建物内部の階段が見事にすり減ってい
る様子など、その美術的なリアルさなども注目に値するもの
だった。しかし巨額の製作費を掛けた割りには、興行的には
大きく成功したものではなく、その後のリンチは『ブルー・
ベルベット』などの純粋に芸術的な作品に向かい、さらに、
『ツイン・ピークス』などで成功して行くことになる。
実はこの1984年版の日本公開に先立って行われたリンチの
来日記者会見では、僕がMCを担当した。場所は銀座のホテ
ルだったと思うが、リンチと製作者のラファエラ・デ=ラウ
レンティスらが出席しての会見だった。そのMCになぜ僕が
選ばれたかというと、映画の内容が難しくて、SFに詳しい
人間が進行した方が良いだろうとの判断だったようだ。
ところが、当時のリンチはあまり会見に出たがらないとい
う話があり、そのリンチが会見するということで記者席には
海外のSFメディアの記者も出席するなど大盛況。その質問
もかなり深いもので、中では、リンチが趣味として魚の解体
を挙げ、それは魚を丁寧に解体してそれを再び組み立てるの
だとか、興味ある話題もたくさん登場したものだ。今にして
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04月01日(火)
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