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On the Production
by 井口健二
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■MONGOL、スシ王子!、アウェイ・フロム・ハー、Mr.ブルックス、休暇、最高の人生の見つけ方、1978年冬
じのものも登場する。しかも『ゾディアック』などは実話に
基づく訳だから、そういう病気があってもおかしくないのか
も知れない。
しかし、今までの映画作品では、連続殺人の現象は描いてい
ても、その殺人鬼の心理を追ってはいなかった。本作はそれ
を殺人中毒症という観点から描いてみせたものだ。と言って
も、別段心理学的や精神医学的な裏付けはないようで、そこ
は娯楽作品として仕上げられている。
その脚本と監督を手掛けたのは、『スタンド・バイ・ミー』
でアカデミー賞脚色賞にノミネートされたこともあるブルー
ス・A・エヴァンスとレイノルド・ギデオン。すでに監督経
験もあるエヴァンスが本作も監督し、ギデオンは製作も務め
ている。
そして主演はコスナーとなる訳だが、実は脚本は最初からコ
スナーを想定して執筆されたそうだ。そして駄目元で脚本を
送ってみたらコスナーが乗ってきて、製作まで引き受けてく
れたとのことだ。
さらにそのコスナーの口利きでウィリアム・ハートが共演、
またコスナーの関連でデミ・モーアまで共演している。その
他には、『噂のアゲメンに恋をした!』のデイン・クックな
ども共演している。
エヴァンスとギデオンは、1984年『スターマン』や1997年の
ターザンパロディ『ジャグル2ジャングル』の脚本なども手
掛けていて、ちょっと捻った題材を描くのが得意のようだ。
連続殺人鬼というと、最近ではアカデミー賞脚色賞にも輝い
た『ノー・カントリー』が話題作になるが、本作はその連続
殺人鬼という題材をさらに大きく捻って作り上げた作品。こ
の脚本にコスナーが乗ったのも判る気がするし、豪華な共演
陣も楽しめる作品だ。
『休暇』
日本の死刑制度を正面から見据えた吉村昭の同名の短編小説
の映画化。
主人公は、甲府刑務所に勤務する刑務官。実直で中年まで独
身で来たその男は、見合いした子連れの未亡人と結婚話を進
めていたが、その連れ子とはなかなか打ち解けられないでい
た。しかも、以前の事情で有給を使い果たしていた男は、新
たに休暇を取って新婚旅行に行くこともできない。
そんなとき、その刑の執行に立ち会えば特別休暇が貰える死
刑の執行命令が届く。そして以前に立ち会いをしたことのあ
る主人公は、周囲の反対を押し切って、休暇を得るために死
刑の立ち会いを志願するが…
執行命令のの発行から死刑の実施までの段取りは、ドキュメ
ンタリータッチと言うほどではないが、かなり克明に描かれ
ている。そこでは、日本の死刑執行が直前まで囚人に悟られ
ないようにしているなど、ちょっと意外な事柄も紹介されて
いた。
そして死刑執行が、単に囚人に死を与えるだけでなく、それ
を執り行う刑務官たちにも多大な影響をもたらしているとい
うことなど、今まで考えてもみなかった事実がいろいろと描
かれていた。
正直に言って自分は刑務官でもないし、死刑囚になることも
まず無いと思っているが、そんな自分たちに対してこの事実
は、やはり国民として知っておかなければならないことのよ
うにも感じられた。これから裁判員制度も始まるときに、こ
の作品は特に重要な意味を持つものだ。
出演は、小林薫、西島秀俊、大塚寧々、大杉漣。それに柏原
収史、菅田俊、利重剛、榊英男らが脇を固める。
監督は、以前『棚の隅』という作品を紹介している門井肇。
前作は、以前に招待されていた映画学校の作品発表会の関連
として試写を見せてもらったものだが、その卒業生が、本格
デビューを飾るものだ。
なお、映画の製作を山梨日日新聞がバックアップしており、
そのためなのだろうが、映画の中でJリーグ・ヴァンフォー
レ甲府のラジオ中継が聞こえてきた。それから映画の中のあ
るシーンで登場する水差しが、我が家の洗面所に置かれてい
るものと同じで、それにはちょっと驚いた。
『最高の人生の見つけ方』“The Bucket List”
ジャック・ニコルスンとモーガン・フリーマン共演で、余命
を定められた2人の男が、それまでに味わったことの無い、
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03月23日(日)
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