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On the Production
by 井口健二
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■光州5・18、僕の彼女はサイボーグ、パリ恋人たちの2日間、●REC、ミラクル7号、おいしいコーヒーの真実、歩いても歩いても
くないキャラクターではあるが、それなりに愛らしいという
か許せるところも魅力だろう。
国のそれぞれには事情があって、それは外国人からは見えな
い部分も多い。そんなフランス人の隠れた姿を、フランスと
アメリカの両方で暮らすデルピーが、見事に描き出した作品
でもありそうだ。
なお、台詞は英語とフランス語がチャンポンに出てくるが、
字幕ではあまり明確に区別されていない。物語の雰囲気で容
易に理解はできるが、観客もその辺は注意して観てもらいた
い作品だ。

『●REC』“[Rec]”
『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』などと同様、事件を取
材するヴィデオカメラの視点だけで描かれた作品。救急要請
で出動した消防隊員と、それを取材するテレビクルーが異常
な事態に遭遇する。
主人公は、深夜に働いている人々を取材するテレビ番組のレ
ポーター。その日は消防署を取材対象にして、カメラマンと
2人で取材を続けていた。しかし大きな事件もなく、時間は
淡々と過ぎていった。
そこに、アパートで女性が叫んでいるという通報が届き、消
防隊員が出動することになる。現場に到着すると、住人たち
は1階のホールに集まって様子を伺っており、隊員たちは階
上の叫び声が聞こえたという部屋に向かうが…
部屋に入った隊員の1人が叫んでいた老婆に噛みつかれ、慌
てて病院に搬送しようとした彼らは、そのアパートが外側か
ら封鎖されていることに気付く。しかも、再三怪我人の搬出
を要請しても、返ってくるのは待機しろという指示のみ。
その内、中にいた住人の一部に異常な行動が始まり、主人公
たちはアパートの中を逃げ惑うことになるが…
ゾンビ物のようでもあるが、設定自体は病原菌による感染症
と説明もされている。なお外国映画に日本語字幕が付くと、
マスコミ向けに完成披露試写というのが行われるが、今回の
それは「感染披露試写」と銘打たれていたようだ。
ただ、感染症であるなら、感染から発症までの潜伏期間の問
題があるるが、この映画では最初に感染していていたはずの
人物の発症が後であるなど、多少あやふやな感じもした。そ
れに映画の後半に出てくる因縁話も何のことなのか、今一判
断に窮するところだった。
でも、ホラー映画としての水準はクリアしているように思え
るし、P.O.V.(Point of View=主観撮影)と称される撮影
方式も、それなりに上手く使われている感じはした。実際、
久しぶりにぞくぞくする感覚は味わえた。
それから住人の中に東洋人の一家がいて、映画では「日本語
か中国語か判らない」というような台詞も出ていたが、その
台詞は日本語で、少なくとも母親役を演じている女優は日本
人だったようだ。

『ミラクル7号』“長江7號”
『少林サッカー』などのチャウ・シンチー監督が、『ET』
からのインスパイアで作ったというSFファンタシー。
主人公の家は、今時珍しいくらいに貧乏な生活の父子家庭。
でも、子供に教育は必要という考えから息子は私立学校に通
学している。しかし、学校での成績は芳しくなく、金持ちの
子供からのいじめにも遭っている。
そんな息子は、金持ちの子供が持っている犬型ロボットが欲
しくて仕方がない。そしてある日、父親がごみ捨て場から不
思議な物体を拾ってくる。その物体は、緊急発進したUFO
に乗り遅れたETらしいのだが…そんなETを巡って、親子
と子供たちの物語が展開する。
チャウの監督、出演作ではあるが、華麗なアクションがある
訳でなく、主人公も父親と言うよりは息子の方という作品。
しかも、その息子を演じているのが実は女子なのだそうで、
その子が空を飛ぶシーンなどはあるが、元々がアクションを
見せようというものではないようだ。
むしろ、作品は子供たちとETの交流を正面から描こうとし
ているようで、映画ではこのETを通じた主人公の成長や、
互いに理解しあって行く子供たちの姿が描かれる。そしてそ
こにいろいろなVFXシーンなどが挿入されているものだ。
ただし、スピルバーグ監督の『ET』では、公開時にはピー

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03月16日(日)
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