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On the Production
by 井口健二
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■第153回
35年に史上初のハワイからカリフォルニアまでの単独飛行を
成し遂げるなど、数々の飛行記録を樹立した女性飛行家アメ
リア・イアハートを描くもので、1937年7月2日、世界一周
飛行途上のニューギニア付近で消息を絶った彼女の生涯が描
かれる。
 その映画化にスワンクの主演が決まったものだが、アメリ
カや日本でも行動する女性の象徴のように言われるイアハー
ト役に、これはピッタリの配役と言えそうだ。脚本は、『レ
インマン』でオスカー受賞の他、最近では『モーツアルトと
クジラ』なども手掛けるロン・バスが担当している。
 因にイアハートは、女性の地位の向上を目指す団体の会員
としても貢献し、彼女が行方不明になった1年後には世界中
の航空科学技術を学ぶ女性たちを対象にした奨学基金が設立
されている。この基金では日本人を含む600人以上の女性が
支援を受けており、その中からはスペースシャトルの搭乗員
として活躍する女性も誕生しているとのことだ。
 また、イアハートの消息に関しては、当時の世界情勢から
日本軍による撃墜説などもあって、アメリカ人の日本に対す
る憎悪を掻き立てる道具としても利用されたりもしたようだ
が、近年搭乗機の残骸やキャンプの跡などが発見され、単な
る事故だったことが証明されたという話もあるようだ。
 ただしそれも明確ではないようで、従ってバスの脚本がど
こまで描いているかは判らないが、当時の金額で400万ドル
を費やし、アメリカ海軍や沿岸警備隊が個人に対するもので
は史上最高の捜索活動を行ったとされる捜索の模様は、ある
程度までは描いて欲しい感じもするものだ。
        *         *
 『ジェイン・オースティンの読書会』では、次ぎの読書会
のテーマとして挙げられるブロンテ姉妹の2番目エミリー・
ブロンテ原作による壮大な復讐劇『嵐が丘』の再映画化が、
2005年『ジャケット』などのジョン・メイベリー監督で進め
られることになった。
 1847年に初版が出版された原作の映画化では、1939年ウィ
リアム・ワイラー監督、ローレンス・オリヴィエ、マール・
オベロン共演による作品が有名だが、日本でも1988年に吉田
喜重監督が松田優作、田中裕子の共演で手掛けた他、1992年
にはレイフ・ファインズ、ジュリエット・ビノシュ共演の映
画化などもされている。そして今回は、2003年『真珠の耳飾
りの少女』を手掛けたオリヴィア・ヘトリードが脚色を担当
するもので、配役は未定だが撮影は今秋開始の予定となって
いる。
 製作は、『ローズ・イン・タイドランド』を手掛けたハン
ゥェイと、『ウォーターホース』などのエコッセ。因に両社
は、昨年アン・ハサウェイ主演でジェイン・オースティンの
伝記に基づく“Becaming Jane”を公開し、今年はイヴリン
・ウォー原作の“Brideshead Revisited”を製作しており、
文芸路線の一環として計画しているものだ。
 なお、メイベリー監督は、キーラ・ナイトレー、シエナ・
ミラー、キリアン・マーフィの共演で、早世したウェールズ
の詩人ディラン・トーマスを描いた“The Edge of Love”の
撮影が完了したところのようだ。
        *         *
 以下は、SF/ファンタシー系の情報を紹介しよう。
 『エルム街の悪夢』の殺人鬼フレディ・クルーガー役など
の俳優ロバート・イングランドが、『ライラの冒険/黄金の
羅針盤』にも出ていたクリストファー・リーを主演に迎え、
ロシアの文豪ニコライ・ゴーゴリの短編に基づくゴシック・
ファンタシーの映画化を監督する計画が発表された。
 作品名は“The Vij”。原作は『妖女』などの題名でも翻
訳されているようだが、18世紀に魔女狩りに遭った王女の呪
いの物語が描かれるものだ。因に同じ原作からは、1961年に
イタリアのマリオ・バーヴァ監督による映画化が『血塗られ
た墓標』の邦題で日本公開されている。
 なおイングランドは、1989年に“976-EVIL”という劇場映
画を監督しており、それ以来の新作となる“Killer Pad”が

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02月15日(金)
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