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On the Production
by 井口健二
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■ジェイン・オースティンの読書会、アクエリアンエイジ、あの空をおぼえている、美しすぎる母、フィースト、覆面ダルホ、ひまわり、泪壺
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※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※
※僕が気に入った作品のみを紹介しています。 ※
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『ジェイン・オースティンの読書会』
“The Jane Austen Book Club”
最近も『プライドと偏見』の映画化が話題になったジェイン
・オースティンの小説を題材に、現代に生きる男女の恋模様
を描いた2004年のベストセラー小説の映画化。
グループで同じ本を読んでその感想を述べあう。そんな読書
会は、昔はSFファンの間でもたまにやっていたものだが、
今、アメリカの中流階級ではそれが大ブームなのだそうだ。
本作は、そんなアメリカの状況を踏まえて描かれた物語。
このような読書会では、一般的には新作を取り上げることが
多いようだが、本作のテーマはあえてオースティン。200年
も前に書かれたアメリカ女性の間では定番とも言える6冊の
小説を巡って、現代の男女の物語が進んで行く。
読書会の中心人物は、すでに6回の結婚を経験して7回目を
物色中の女性。他には、独身主義で犬のブリーダーの女性、
夫の無関心で教え子に恋心が芽生えている高校教師、夫に裏
切られて別居中の女性と自由奔放なその娘、そして1人の青
年の計6人が集まる。
題材が定番の小説ということで読書会のシーンは深読みの連
発となる。でも物語は、原作を知らなくてもちゃんと理解で
きるように描かれており、さらにオースティンは初体験とい
う青年を中に置くことで必要なコメントが述べられるなど、
構成は巧妙なものだ。
そして、お互いの行動をオースティンの作品に準えて批判し
たり、またオースティンの作品が行動して行く上での決断の
ヒントになったりもする。それが上手くいったり、行かなか
ったり…という物語が展開して行く。
女性が中心の読書会に青年が紛れ込む(もちろん理由はあっ
て誘われるのだが…)というのも上手い展開だが、実はこの
青年の人物設定がSFファン。つまりSFは男性のものとい
う固定観念のような図式も背景に盛り込まれている。
しかもこの青年が誘われるきっかけになるのが、SF大会の
開かれているホテルでの出来事で、そこには、“Buffy the
Vampire Slayer”のコスプレをしたファンがうろうろしてい
たりという細かな描写も、こちらの壺に填るものだった。
その上この青年が、何とオースティンの読者に向かってル・
グインを勧めたりする。さらにアンドレ・ノートン、ジェー
ムズ・ティプトリーJr.といった名前が続けられると、こち
らもニヤリとしてしまうところだ。
というところで種明かしをしておくと、実はこの原作を書い
たカレン・ジェイ・ファウラーは、ネビュラ賞の短編部門を
受賞したこともある女性SF作家で、これはもうSFファン
の心がくすぐられるのも当然の作品なのだ。
出演は、読書会の6人に、キャシー・ベイカー、マリア・ベ
ロ、エミリー・ブラント、エイミー・ブレネマン、マギー・
グレイス、ヒュー・ダンシー。その他の配役では、リン・レ
ッドグレイヴが印象的な役柄で登場する。
『アクエリアンエイジ』
オリジナルカードゲームでは、国内No.1のシェアを持つとい
う同名のトレーディングカードのコンセプトに基づく物語の
映画化。
人類の遺伝子にはいくつかの隠された能力を発揮する特別な
ものがあり、それらの遺伝子を受け継ぐものたちがいる。
その遺伝子を受け継ぐのは、黒い羽根を持つ獣の一族ダーク
ロア、西洋魔術師のWIZ-DOM、東洋の秘術を受け継ぐ阿羅耶
識、予知能力やテレパシーを持つE.G.O.、そして白い羽根を
持ち天使の血を引くイレーザー。
しかし、これらの一族は古より覇権を争い、その争いは今も
続いている。そんな遺伝子を受け継ぐ若者たちが集い、また
対決する姿が描かれる。
主人公は高校生。ある日、バスケ部の先輩と共に帰宅途中の
倉庫街で、傷を負った少年と遭遇する。しかし少年はそのま
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02月17日(日)
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