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On the Production
by 井口健二
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■第149回
イヤーが生み出したキャラクターで、巨大飛行船やジェット
潜水艦など、主に交通機関の新発明を生み出す発明家。そし
て、それらの発明品を使って数々の冒険が繰り広げられると
いうものだった。
 そしてその作品は、いろいろなゴーストライターによって
執筆されたが、発表はハウスネームのヴィクター・アップル
トンの名の下で、100冊以上が刊行されたものだ。なお、僕
が子供の頃に読んだのは、講談社刊の「少年少女世界科学冒
険全集」に収録された『空中列車地球号』(Tom Swift and
his Sky Train)という作品だが、その空中列車の構造や、
いろいろな仕掛けのアイデアの描写には、子供ながらに興奮
した記憶がある。
 また翻訳は、講談社と同じ頃に石泉社からも3冊が出版さ
れていたようだが、さらに1980年代にサンリオ文庫から6冊
のシリーズも翻訳されていた。ただしこのサンリオから発行
されたのは宇宙冒険シリーズとのことで、1981−84年にSF
作家のウィリアム・ロッツラーらによって執筆された第3シ
リーズの作品ようだ。一方、オリジナルは、1910−41年に発
表された第1シリーズ40冊。1954−71年に発表された第2シ
リーズ33冊。1981−84年の第3シリーズ11冊。そして1991−
93年には舞台を再び地球に戻して第4シリーズ14冊も発表さ
れた。さらに2006年からは新シリーズが発表されて、すでに
6冊が出ているとのことだ。
 ところで、今回の映画化に乗り出すアルビー・ヘクトは、
「子供の頃にはこのシリーズを読むのに忙しかった」という
ことだが、一体どのシリーズを基本として映画化を進めるの
かは明らかではない。しかし発表での本人の言葉によると、
「ジュール・ヴェルヌのような感覚」という発言もされてお
り、ちょっとレトロな雰囲気の感じられる作品も期待できそ
うだ。
 なお、Tom Swiftの名前は、小惑星の命名にも登場してい
るとのことだが、さらに全米数100の警察署や、カナダの一
部の警察にも配備されているというワイヤーを使った電極式
スタンガンの名称Taser Gunの最初の3文字TAEは、彼のフル
ネームのThomas A. Swiftに由来しているそうだ。
 今回発表された映画の製作の時期等は未定だが、映画化は
実写とCGIの合成、もしくはモーション・キャプチャーに
よって行われ、同時にテレビシリーズやゲームにも展開する
計画のようだ。
        *         *
 次はストライキの影響ではないようだが、ジェームズ・キ
ャメロン監督の新作“Avatar 3-D”の公開日が、当初予定さ
れていた2009年5月22日から12月18日に変更されるとフォッ
クスから発表になった。
 その理由は、技術的な問題で劇場公開までにはもう少し時
間が欲しいという監督からの申し入れがあったとのことだ。
また同時にこの公開日は、現状でのキャメロンの最後の作品
『タイタニック』と同じ週末になるということで、いまだに
破られていない史上最高興行記録の同作品に対する験担ぎの
意味もあるようだ。それならついでに、前作と同じく東京国
際映画祭でのワールドプレミアも期待したいところだが、そ
れはどうなるだろうか。
 一方、この変更で空いた2009年5月のスケジュールには、
ベン・スティラー主演のヒット作『ナイト・ミュージアム』
の続編の登板が発表された。この続編の題名は、“Night at
the Museum 2: Escape from the Smithsonian”とされてい
るもので、今回の舞台はワシントンDCのスミソニアン博物
館。アポロ計画で持ち帰られた「月の石」から、『宇宙大作
戦』のエンタープライズ号まで、人類科学技術の粋が展示さ
れるこの博物館で、一体どのような騒動が繰り広げられるか
楽しみだ。
 脚本は、第1作と同じくロバート・ベン・グラントとトー
マス・レノンが執筆し、監督も同じくショウン・レヴィ。主
演もベン・スティラーの再登場で、何人かの登場人物は前作
から継続するが、スミソニアン独自の人物も登場、そこには
女性パイロットのアメリア・イアハートもいるとのことだ。

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12月15日(土)
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