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On the Production
by 井口健二
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■ディセンバー・ボーイズ、ビー・ムービー、潜水服は蝶の夢を見る、魁!!男塾、スリザー、ベオウルフ、ブラザー・サンタ
千葉繁が担当し、挿入歌をつじあやの(画面にも登場)が歌
っている。
原作のコミックスは読んでいないが、映画は見事にコミック
ス的な破天荒さを再現している。それはアクションだけでな
く、端々の演出にもよく目配りが行き届いたもので、それぞ
れが良い雰囲気を創り出していることは認められるものだ。
特に、千葉のナレーションの活かし方は、これが定番のもの
なのかも知れないが、上手く雰囲気に填っていた。
それに坂口のアクションは、少林寺拳法やボクシングなどを
基礎から学んでいるとのことで、敵役で登場する『VERS
US』以来のコンビの榊英男との対決は見応えがあった。
また、それ以前の乱闘シーンでもコマ落としなどの小細工を
せず真っ正面で描いていることは、CGIアクション全盛の
時代に特筆しておけるものだ。
その一方で、麿赤兒の登場シーンなどには大袈裟なCGIが
使われていることも、適材適所の効果が良く計算されている
ものだ。日本映画ではこの計算がなかなか上手く行っていな
いことが多いが、その計算が出来る人たちが増えてきている
ことは頼もしい。
坂口の作品にはこれからも注目して行きたいところだ。
『スリザー』“Slither”
2002年に大ヒットを記録した『スクービー・ドゥー』などの
脚本家ジェームズ・ガンが、自らの脚本により監督デビュー
を飾った作品で、宇宙から飛来した謎の生物に襲われた町の
恐怖を描いたホラーコメディ。
その生物は隕石に乗って飛来し、細い針のような形で被害者
の胸から侵入、脳に至ってその人物を支配する。そして次ぎ
なる形態では繁殖のための宿主を捕え、そこで繁殖した膨大
な数の個体が人々に襲いかかる。そして襲われた人々は、ゾ
ンビのごとく動き始める。
この人々を襲うまでの手順が実に論理的で、この辺がこの脚
本家の本領でもあるのだろうが、実に納得して観ることがで
きた。しかも、その間に侵入した生物が宿主の記憶を利用す
る辺りの展開も上手く描かれていて、それなりに笑えるもの
になっていた。
また、襲ってくる生物などの造型もグロテスクではあるがユ
ーモラスで、全体的にホラーコメディとしては高水準の部類
に入れられそうだ。その他、CGIの使い方などもそれなり
にスマートに行われていた。
出演は、2002年放送のSFテレビシリーズ“Firefly”が話
題を呼んだネイサン・フィリオンと、『スパイダーマン』の
シリーズ3作にベティ・ブラント役でレギュラー出演してい
るエリザベス・バンクス。特にバンクスは、人気シリーズで
の役柄とは違った清楚な感じが好ましかった。
他に悪役専門のマイクル・ルーカー、グレッグ・ヘンリー。
さらに『ウィカーマン』に出演のタニア・ソルニアらが共演
している。
なお、ガンは、2004年のリメイク版『ドーン・オブ・ザ・デ
ッド』の脚本でも知られるが、同作の猛スピードで走り回る
ゾンビに呆れたことを考えると、本作でのゆらゆら動く襲わ
れた人々の姿には、反省してくれたのかなとも思ってしまう
ところだ。
それからこの監督の名前からは、1970年に放送された“The
Immortal”(不老不死の男)の原作者としても知られる同じ
名前のアメリカのSF作家が思い浮かぶが、調べた範囲では
係累ではないようだった。
『ベオウルフ』“Beowulf”
紀元6世紀に成立したとされる英国最古の英雄叙事詩に基づ
く映画化。
北欧デンマークを舞台に、怪物の襲撃に手を焼く小国に現れ
た英雄ベオウルフが、その怪物を倒して王位を引き継ぐが…
という物語。
本作を監督したロバート・ゼメキスは、中学の頃にベオウル
フ叙事詩についての宿題が出されて苦労した経験があるそう
だ。それはゼメキスの言に拠れば、古代英語で読み難いし、
内容も支離滅裂で、読んでも全く面白いとは思えなかった…
とある。
実際、オリジナルの叙事詩は6世紀ごろにイギリスに伝わっ
たとされるものだが、最終的に纏められたのは10世紀ごろの
ことで、その間にいろいろな改訂が加えられ、特にキリスト
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11月20日(火)
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