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On the Production
by 井口健二
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■第142回
* *
続いては、『プラトーン』などのオリヴァ・ストーン監督
が、ベトナム戦争の真実に迫る4度目の作品を計画。その製
作をユナイテッド・アーチスツ(UA)と交渉していること
が公表された。
作品の題名は“Pinkville”。この言葉は、アメリカ軍の
戦略地図で共産化している村落を指す用語というものだが、
1968年、実際はそうではなかった村で事件は発生した。日本
ではソンミ村虐殺と呼ばれたが、実際はソンミ地区のMy Lai
(ミライ)村という場所で、米軍による一般住民の虐殺事件
が発生。子供や女性、老人など500人以上の一般人が虐殺さ
れたとされるこの事件は、当時のアメリカ国民に大きな衝撃
を与え、その結果アメリカ政府のベトナム政策転換の切っ掛
けになったとも言われているものだ。
そして映画は、この虐殺作戦を地上で指揮した米軍司令官
と、上空から作戦に参加していたが途中で間違いに気付き、
最後は味方に銃口を向けて村民の救出を行ったヘリコプター
部隊のパイロットの行動を描く。最終的にこの救出された人
たちが米議会での証言を行って事件を明るみに出すものだ。
配役は、地上の司令官をブルース・ウィリス、間違いに気
付くパイロットを今春公開されたダンス映画『ステップ・ア
ップ』に主演、テレビ番組のホストなども務めているチャニ
ング・テイタムが演じることになっている。製作費は4000万
ドルが計上され、撮影は来年早々に行われる。
なおUAは、ストーン監督の『7月4日に生まれて』に主
演したトム・クルーズが事実上主宰しているものだが、今回
の作品への出演は予定されていないようだ。
* *
前回も紹介したMcGとワーナーの契約で、もう1作品が追
加された。追加された作品の題名は、“Maintenance”、Oni
Pressから出版されているコミックスを映画化するものだ。
物語は、スーパーヒーローと対決する超悪人たちのために
兵器や武器などを提供している世界的企業テラーマックスと
いう会社が舞台。そこで回収された兵器のメンテナンスなど
を担当している2人の技術者が、ある日のことタイムマシン
の修理を担当し、それによって世界を救うことになってしま
うというもの。
ジム・マッセイ(文)とロビー・ロドリゲス(絵)の原作
から、MGMで“F+”や、ニュー・リジェンシーで“Whitch
Hunters”などを手掛けるジョー・バラリーニが脚色。製作
は、McGが主宰するワンダーランドで行うものだが、McGは
「アクションとコメディとVFXが一体となった『バック・
トゥ・ザ・フューチャー』や『レイダース/失われた聖櫃』
のような作品に憧れて監督を目指したが、この作品は、その
ゴールとも言えるものだ」として実現に熱意を示している。
因に、McGとワーナーの契約は3年間で、その間の実現が
期待される。
なお、この他にOni Pressの作品では、“Whiteout”とい
う作品がすでに映画化されて来年ワーナーから公開予定にな
っている他、“Courtney Crumin”と“The Damned”という
2作品の映画化権をドリームワークスが契約したことも話題
にもなっている。
* *
第134回で紹介したロブ・マーシャル監督によるブロード
ウェイ・ミュージカル“Nine”の映画化のキャスティングが
開始され、主人公の監督役にジャヴィア・バーデンと、彼を
取り巻く女性たちとしてペネロペ・クルス、マリオン・コテ
ィヤールの出演が発表された。
またこの作品には、監督を取り巻く女性は全部で4人登場
するとのことで、マーシャル監督は後の2人を、ソフィア・
ローレンと、キャサリン・ゼタ=ジョーンズにオファーして
いるそうだ。
因に、女優陣には全員歌と踊りの素養が要求されるとのこ
とだが、クルスは『ボルベール』での見事な歌声が印象に残
るところだし、コティヤールは、『エディット・ピアフ』の
歌唱シーンは歌手の保存音源に演技を合せたものだったが、
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09月01日(土)
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