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On the Production
by 井口健二
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■呉清源、リトル・レッド、ヴィーナス、バイオハザード3(特別映像)、大統領暗殺、ストレンヂア
また今回は、ゲームのキャラクターからクレアが新登場する
ようで、『ファイナル・デスティネーション』や、テレビの
“Heroes”などのアリ・ラーターがその役を演じていた。
一方、3度目のアリス役のミラ・ジョヴォヴィッチは、今回
は妊娠6カ月の身重でプロモーションに来日したものだが、
記者会見では、「毎作これが最後と思って作っているので、
次回作の考えはない」としたものの、「観客の反応次第」と
次回作への含みも残していた。
チラシのコピーは「アリス、砂漠に死す」となっているが、
シリーズはまだまだ続きそうな雰囲気だ。

『大統領暗殺』“Death of a President”
2007年10月19日、遊説先のシカゴでアメリカ大統領が暗殺さ
れるという顛末を、記録映像を巧みに編集して描いた超近未
来ポリティカル・フィクション。
映画は、アラビア語のナレーションで始まる。それは一人の
アラブ系の女性がカメラに向かって喋っているもので、そこ
では彼女の夫が全く罪のない存在であることが訴えられ続け
る。しかし9/11以降、何か事があると最初に疑われるのは
アラブ系の男性なのだ。
その日のシカゴは異様な緊張に包まれていた。ブッシュ大統
領が経済団体の式典で演説することになっており、空港から
式典会場のホテルまでの沿道には、警備の警官隊とデモ隊の
群集が対峙していた。
そんな中、エアフォース1はオヘア空港に着陸し、車列の移
動が始まる。ところがその日はデモ隊の力が大きく、途中で
車列は予定された経路の変更を余儀なくされる。それでも無
事ホテルに到着するが、その時、警備体制の情報が外部に漏
れている疑いが出始める。
この状況が、警備担当者や、大統領車に同乗する演説原稿の
ライターなどの証言によって綴られて行く。それがどれも真
に迫っていて、しかも登場する大統領と報道官の映像は全て
本物の記録映像を編集したものだから、まさにフェイクの真
骨頂という作品だ。
製作脚本監督のガブリエル・レンジは、イギリスのテレビで
ドキュメンタリードラマを数多く手掛けている人だそうで、
その手腕が見事に活かされている。
このような架空事件ものは、以前はSFの一分野として成立
していたものだが、最近はあまり見かけなくなっていた。そ
んな作品が見事に復活したものだが、実は本作は昨年のトロ
ント国際映画祭で国際批評家賞を受賞し、その後も各地の映
画祭で上映されてはいるものの、一般興行は拒否されている
国が多いのだそうだ。
それが本当かどうかは知らないが、実際に僕の観た試写会で
も、上映後に宣伝担当者にこの作品の意図は何かと喰って掛
かっている若者がいて、何か異様な感じを受けた。
映画では、暗殺後にアラブ人の夫が逮捕され、実は他に白人
の犯人がいるのでは?という情報も無視されて訳が判らない
まま有罪にされるという展開になるもので、その部分の製作
意図こそ重要に思えるのだが…若者には大統領暗殺を描くこ
とが問題だったらしい。
因に日本では、当初『ブッシュ暗殺』という邦題が映倫の指
示で変更され、ポスターも大統領の苦悶の顔の部分をカット
するなど規制が加えられている。また公開はR−12指定にな
っているようだ。
僕は、映画の前半はフィクションとして充分に楽しめたし、
むしろ後半の裁判の顛末にはアメリカの危険性が見事に描か
れて出色の作品だと思った。何を慮ってこういう作品を公開
禁止にするのか、その意図こそが問題に思えるものだ。

『ストレンヂア無皇刃譚』
テレビアニメの『鋼の錬金術師』などを手掛ける制作会社の
ボンズと、監督の安藤真裕、脚本の高山文彦が揃って作り出
したアニメーション時代劇。
普段アニメーションはあまり観ている方ではないが、最近の
アニメの時代劇というと、何となく妖術使いが出てきたり、
魔物が出てきたりで、どうもそういう方向に流れる傾向を感
じる。本作も背景にあるのは、明国の皇帝が不老不死の仙薬
を求めて…というお話だ。しかし本作では、比較的まともな
時代劇が描かれていたように思えた。

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08月10日(金)
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