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On the Production
by 井口健二
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■デス・プルーフ、プラネット・テラー、マザー・テレサ、ファイアー・ドッグ、純愛、ナルコ、たとえ世界が終わっても
ではちょっと奇異に感じられた。
『ファイアー・ドッグ』“Firehouse Dog”
周囲の過疎化と現場への到着の遅れなど活動の不振で、閉鎖
が目前とされた消防分署を舞台に、空から落ちてきた1匹の
犬が大活躍を繰り広げるファミリー・ピクチャー。
その分署は、前任隊長が消防犬と共に殉職し、隊長職はその
弟が継いだが、活動は遅れ気味で周囲の分署からも少し蔑ま
れている。しかしその地域では兄が殉職した火災を始めとし
て不審火が続いており、現隊長はその調査も続けている。
主人公はそんな現隊長の息子。父子家庭の上に、兄の死を消
化仕切れていない父親の生活態度も影響してか、息子の生活
も荒れ気味で、試験日となると学校をさぼったり、家でもヴ
ィデオゲームばかりに熱中している。
一方、登場するのはハリウッドのスター犬。アクション映画
で主演を張って大活躍だったが、ある日、スカイダイビング
シーンの撮影中の事故で失踪し、その町に迷い込む。そして
主人公と遭遇したスター犬は、ハリウッド時代の特技を駆使
して大活躍するが…
以前に警察犬として訓練された犬が一般家庭に入り込んで…
という作品もあったが、家で犬を飼っている者としては、描
かれる犬の行動なども理解できるし、問題なく楽しめる作品
ということになる。
本作は人間の主人公が少年ということもあって、お子様向け
の作品ではあるが、それなりに謎解きなどもスマートだし、
うまく作られた作品と言える。ただし、犬が演じるアクショ
ンにはちょっとやりすぎの部分もあったが、それはご愛嬌と
いうところだ。
一方、スター犬のシーンでは、映画のポスターなどのパロデ
ィもあって、それなりに楽しめた。それから個人的には、以
前息子が消防少年団に入っていたこともあって、消防署の中
の様子などにも多少親しみがあり、その点もポイントになっ
たものだ。
主演は、『ザスーラ』のジョッシュ・ハッチャーソン、父親
の現隊長役を『13デイズ』でケネディ大統領に扮したブルー
ス・グリーンウッドが演じている。また登場する犬は、4匹
のアイリッシュ・テリアによって演じられているそうだ。
『純愛』
第2次世界大戦後の中国大陸残留日本人女性を描いた作品。
中国人監督の演出で中国で撮影された作品だが、製作は、北
京中央電視台での主演作もあるという日本人女優の小林桂子
という人が、個人で資金を集め、自らの脚本、製作総指揮、
主演により作り上げた作品となっている。
1945年夏。敗戦によって日本に平和がもたらされたその頃、
中国大陸では開拓団として渡ってきた日本の若者たちが、日
本軍の撤退により欝積していた中国人の反感を浴びながら、
生死の境を彷徨っていた。
主人公たちの一団も山岳地帯で、敗戦を認めない残留日本軍
などの襲撃に遭い、やがて散り散りになって行く。そんな中
で新婚の愛と俊介はとある山里に迷い込み、そこでも村人た
ちの反感を買うが、1人の盲目の老婆が彼らに助けの手を差
し伸べる。
そして夫婦であることを隠し老婆の家に住み込んだ2人は、
その老婆の息子の山龍と共に生活して行くが…
物語は、小林が現地で残留日本人女性から聞いた実話に基づ
くということだ。実は、僕の両親も開拓団では無いが戦前の
中国に渡っていて、幸い早めに引き上げたので家族は無事だ
ったものだが、他人事ではない話ということになる。
実際このような話は、もっと他にもあるのだろうし、もっと
悲惨な目に遭った人も多いとも思われるが、その中でこの話
は、日中の友好を描くためには最適の物語と言えそうだ。最
後の鯉幟のエピソードが実話かどうかは知らないが、創作と
しても良い感じだった。
ただし、主人公の跡を娘が継いだという話は、この映画の展
開ではちょっと辻褄が合わない感じもしたが…
なお、映画の公開は8月18日に銀座シネパトスでスタートす
るが、そのチケット代の一部はNPO法人の小林桂子基金を
通じて世界の子供たちのために使われるとのことだ。この基
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07月31日(火)
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