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On the Production
by 井口健二
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■第138回
 この物語は、1985年に放送された『新ミステリーゾーン』
のエピソードとしても映像化されたようだが、若い夫婦の家
に不思議な箱が届けられ、その箱のボタンを押すと、世界の
どこかで同じボタンを押したもう1人との間で、一方が死亡
し、他方にその財産が転がり込む。つまり二者択一の究極の
ゲームが行われるというお話だ。
 そしてこの原作を、前回の報告では、2001年にドリュー・
バリモアの製作総指揮でも話題を呼んだジェイク・ギレンホ
ール主演の超常現象映画『ドニー・ダーコ』を発表したリチ
ャード・ケリーが脚色、当時の計画では“Cavin Fever”の
エリー・ロス監督で映画化するとされていた。
 しかしその計画は頓挫したようで、その後はケリーが自ら
の監督で計画を進めてきた。その映画化にディアスが出演す
るもので、これにより製作費は3000万ドルに跳ね上がるとの
ことだ。しかし最近の傾向として、スター登場のホラー作品
は着実に興行成績が上がっているのだそうで、この作品にも
その期待が持たれている。
 なお、物語的には『ザ・リング』と同じ傾向と評されてい
るようだが、ディアスの参加で『ローズマリーの赤ちゃん』
や『アザーズ』のような方向も目指せるとされており、論理
的な展開よりは超常的な色彩の濃い物語になりそうだ。
 製作は、『バベル』を手掛けたメディア・ライツ・キャピ
タル。配給は撮影が開始されてから決定される。因に同社が
先に製作したサッシャ・バロン・コーエン主演“Bruno”の
配給権は、『ボラット』人気の高まりにより、4250万ドルで
ユニヴァーサルと契約されたそうだ。
 “The Box”の撮影は今秋開始される。
        *         *
 久しぶりに“Conan the Barbarian”の話題が登場した。
 ロバート・E・ハワード原作によるアダルトファンタシー
の映画化権に関しては、最近7年間はワーナーが権利を保有
していた。しかしその間、1982年版を脚色監督したジョン・
ミリウスや、アンディ&ラリー・ウォシャウスキー兄弟、ロ
ベルト・ロドリゲスらによる幾多の挑戦があったもののいず
れも実現に至らず。昨年7月の第114回で紹介したボアズ・
ヤーキンの計画も頓挫したようで、ついにワーナーは全面的
な権利放棄を発表することになった。
 これに対してハリウッド各社は一斉に動き出し、当初の条
件が、6桁($)の契約金で期間は18カ月(1回だけ延長が
認められる)というものだったことから、特にミレニアムや
ハリウッド・ギャングといった会社が熱心だったようだ。
 しかし、その条件は徐々に吊り上がり、最終的には契約金
100万ドルで期間は1年間、更新には毎年100万ドルを積むと
いう段になって、各社は特に1年間の制限を気にして脱落。
結局その権利は、ワーナーの兄弟会社でもあるニューライン
が獲得することになったようだ。
 権利者としては、映画化権を設定したもののいつまでも映
画化されないでは、最終的な権利の活用にはならない訳で、
その意味では今回の契約は画期的なものと言える。しかし、
それにしても映画の完成まで1年間というのは無理な話で、
ニューラインとしては、最低200万ドルは支払う覚悟での契
約となりそうだ。
 『300』の成功で、マッチョな男たちの映画は注目を浴
びているところでもあるし、いずれにしても映画化が実現す
れば、先に支払った契約金も問題なくなるものではあるが、
かなり厳しい条件であることに変りはない。ただ、観客とし
ても早く観られることは期待するもので、応札者がいるので
あればこの契約も悪いとは言えない。後はニューラインが、
早く映画化を実現してくれることを期待するだけだ。
 なお、第136回で報告したワーナー製作“The Masters of
the Universe”の計画は、“Conan”の権利放棄を前提とし
て打ち出されたものだったという説もあるようだ。ワーナー
とニューラインの関係では、互いに食い合うようなタイミン
グでの公開はないと思われるが、どちらも往年の映画化のリ

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07月01日(日)
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