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On the Production
by 井口健二
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■インランド・エンパイア、レミーのおいしいレストラン(特)、屋根裏の散歩者/人間椅子、ゴースト・ハウス、消えた天使
ていて納得できた。
原案はトッド・ファーマー、脚本はマーク・ウィートンとク
レジットされている。因に、ファーマーは『13日の金曜日』
などの脚本家。またウィートンは、映画雑誌の「SFX」や
「ファンゴリア」などのライターから転身した脚本家だそう
だ。
とは言え、この作品を作り上げたのは、やはりパン兄弟だろ
う。何しろ『the EYE』でも見せた見事な恐怖演出を、これ
でもかとばかりに打ち出してくる。
『リング』などの中田秀夫監督は、要所で極限の恐怖演出を
繰り出すが、パン兄弟は一度恐怖演出を始めると止め途がな
くなる。その恐怖演出のつるべ打ちが、久しぶりにホラーを
堪能させてくれる感じだった。
主演は、2002年の『パニック・ルーム』でジョディ・フォス
ターの娘役を演じていたクリスティン・スチュワート。彼女
は他に05年の『ザスーラ』にも出ている。共演は、ディラン
・マクダーモット、ペネロピー・アン・ミラー、ジョン・コ
ーベット。
幼い子供が部屋の一点を凝視する。その無気味さは実生活で
もよく体験する。そんな実体験に基づく恐怖を描くことに抜
群の才能を発揮するパン兄弟。本作は、そんなパン兄弟の特
質がハリウッドでも存分に活かされたと言える作品だ。

『消えた天使』“The Flock”
香港映画のアンドリュー・ラウ監督によるアメリカ進出第1
作。リチャード・ギア、クレア・デインズの共演で、アメリ
カの性犯罪者登録制度をテーマにした社会派ドラマ。
性犯罪は再犯率が極めて高いとされ、犯罪者の移動などの報
告を義務づける登録制度は、日本でも導入が取り沙汰されて
いるようだ。しかしこの映画は、制度の有効性を描くのでは
なく、むしろその問題点が指摘されているような作品だ。
現在アメリカで、この制度により登録されている人数は50万
人以上。これにより、監察官1人当りの担当する登録者の数
は1000人にも上るという。そしてその監察を、監察官という
人間が行っている以上、その弊害は数多くありそうだ。
ギアが演じるのは、退職を間近にした監察官バベッジ。彼は
独自の方法で登録者の監察に当っているが、そのやり方は時
に行き過ぎであり、同僚からも冷たい目で見られ、実は退職
勧告も、行き過ぎを訴える登録者の声が原因だった。
そんなバベッジが、後任となるデインズ扮する女性監察官ラ
ウリーの教育を命じられる。このためラウリーは、バベッジ
に同行することになるが、ラウリーはバベッジのやり方に反
発しながらも、彼の実力は認めざるを得なくなって行く。
そんなとき若い女性の誘拐事件が発生する。犯人からの連絡
もなく、家出の可能性も考えられたが、バベッジは自分の担
当する登録者の中に犯人がいると確信する。しかし、警察に
も同僚にも賛同を得られず、ラウリーとバベッジは独自に捜
査を開始するが…
映画はその捜査の状況を描いて行くが、そこにはバベッジ自
身の葛藤も織り込まれ、見事なドラマが展開される。そして
それを演じているのがリチャード・ギアであることが、いろ
いろな意味でドラマに深みを与えている感じがした。
それにしても、筆者は自分がギアと同い年であるから余計に
感じてしまうのかも知れないが、ここに描かれる主人公の姿
はやたらリアルで、ちょっと衝撃を受けた。
ラウ監督は、『インファナル・アフェア』から『頭文字D』
まで、いろいろなタイプの作品を描き出す人だが、この作品
は見事にアメリカ映画になっており、そうと知らされていな
ければ、普通にアメリカ映画として認識してしまうような出
来栄えだ。
それでも、主人公の内面への掘り下げなどは、言葉のコミュ
ニケーションが存分とは思えない状況で、よくぞここまで演
出したと思う位のもので、そこにはギアの理解もあったのだ
ろうが、それは見事な出来だったと言える。
他の出演者は、『アナコンダ2』のケイティ・ストリックラ
ンド、『ツイン・ピークス』でローラの父を演じたレイ・ワ
イズ、人気歌手のアヴリル・ラヴィーン。さらに、ラッセル

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05月20日(日)
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