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On the Production
by 井口健二
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■第135回
呪いによって甦った古代の王ということで、その王に呪いを
掛けた魔法使い役をミシェル・ヨーが演じる。また、結局出
演が断念されたレイチェル・ワイズの替役には、6人の女優
がテストされて、マリア・ベロが選ばれたようだ。
撮影は7月27日にモントリオールで開始。舞台は中国の隠
された墳墓からヒマラヤへと広がる。公開は2008年7月で、
北京オリンピックの開催直前の時期、中国に関心が集まる頃
を狙っているものだ。
* *
ピーター・ジャクスン監督が次回作に予定している“The
Lovely Bones”の脚本が完成し、ハリウッド各社に提示され
て、ドリームワークスがその権利を獲得したようだ。
この作品については、第124回では題名だけ紹介したが、
アリス・シーボルドという作家が2002年に発表した同名の原
作小説に基づくもので、レイプされ殺された14歳の少女の霊
魂が、彼女の家族と殺人者を見つめ続けているという物語。
1994年にジャクスンがベネチアで受賞した『乙女の祈り』と
同傾向の作品と言われている。そして脚本はジャクスンと、
『LOTR』『キング・コング』にも協力したフィリッパ・
ボウエン、フラン・ウォルシュの共同で執筆されたものだ。
また、今回の脚本の提示に対しては、ワーナー、ソニー、
ユニヴァーサルも手を挙げたが、スティーヴン・スピルバー
グがジャクスンとの共同作業を希望したこと。元々この原作
は数年前のジャクスンに権利が移行する以前に同社が権利の
獲得を目指したことがある。さらに現在ドリームワークスの
CEOを務めているステイシー・スナイダーが、『キング・
コング』を実現した際のユニヴァーサルの担当だったなど、
いろいろな条件でドリームワークスに決定されたようだ。
なお、契約に当ってスピルバーグからは、「こんなに心を
動かす魔法のような物語を読んだら、そこにどんな紆余曲折
があったとしても、何時かはその映画化に至る道を見つけた
くなる」と、ここに至った経緯が紹介されたそうだ。
一方、今回の脚本の提示では、ニューラインだけはその対
象から外されたと言われている。これは『LOTR』の利益
配分を巡って同社とジャクソンが揉めているためだが、元々
今回の作品は、監督が次の大型作品の前に撮りたいとしてい
たもの。これで“The Hobbit”の映画化は、ますます多難に
なってきたようだ。
さらに“The Lovely Bones”の契約に関連して、ジャクス
ンとスピルバーグの新たなコラボレーションも動き出したよ
うだが、その話は次回に報告する。
* *
久しぶりに“Terminator 4”の話題が登場した。
この第4作には、アーノルド・シュワルツェネッガーも、
ジェームズ・キャメロンも参加しないことは、既定の事実と
なっているようだが、さらに『T2』『T3』の実現の立て
役者だった製作者のアンディ・ヴァイナとマリオ・カサール
も関わらないことになったようだ。
元々このシリーズでは、1984年にキャメロンとゲイル・ア
ン=ハードが第1作を作る際に、その製作費を調達する目的
で権利を切り売りし、実際に第1作が完成されたときには、
10数人の権利者がいたと言われている。その分割された権利
を1991年の第2作を製作する際に、一つずつ買収して纏めた
のがヴァイナとカサールで、結局この時点では、権利はヴァ
イナ+カサールとアン=ハードに集約された。
ところがその後、ヴァイナ+カサールの率いていたカロル
コが倒産、2003年の第3作の時には、そのカロルコの権利が
争奪戦となり、最終的にヴァイナ+カサールが買い戻して、
一緒にアン=ハードの権利も獲得して一元化したものの、こ
のときキャメロンが独占契約を結んでいたフォックスとは対
立、ついにキャメロンは降板となった。一方、シュワルツェ
ネッガーも第3作には主演したものの、その直後にカリフォ
ルニア州知事に当選、さらに再選も果たして、当面は映画出
演の可能性はなくなってしまったものだ。
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05月15日(火)
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