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On the Production
by 井口健二
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■第133回
られなかったということだ。
 一方、アードマン側からしてみると、年間2本ずつを公開
するDWAのスケジュールで、指定された期日に合せること
が難しかったという問題もあったようだ。これに対しソニー
では、年間20本を公開する同社のスケジュールの中で、適当
な時期に合せればいいもので、期日管理に制約がほとんどな
いことになる。これがイギリス流の製作にはマッチしている
とのことだ。
 従って、今回の契約でソニーから配給されるアードマン作
品の具体的なスケジュールなどは発表されていないが、アー
ドマンでは現在4つの脚本が製作の準備段階にあるというこ
とで、その内の1本は“Crook Awakening”と思われるが、
その他にニック・パーク監督による“Wallace and Gromit”
の新作長編の計画も進められているようだ。
 なお、上の記事で紹介したように、DWAでは全作品の3
D化を計画しているものだが、CGIと違ってアードマンの
クレイアニメーションの3D化には、撮影機材そのものから
変更を要求される。その辺の問題も今回の契約問題に絡んで
いたのかも知れない。
 元々、立体アニメーションとも呼ばれていたクレイや人形
アニメーションは、本来なら3D映像には最適なものだが、
実際は、カメラの3D化などが容易ではない。これを3D化
するには、『ナイトメア・ビフォア・クリスマス』で行われ
た後処理での3D化の方が簡単にも思えるものだ。
 それに絡めて、短い情報なので一緒に報告しておくと、テ
ィム・バートン監督がディズニーで製作した最初の人形アニ
メーション作品“Vincent”の3D化が実施され、アメリカ
では今秋の『ナイトメア…3D』の再公開に併映されるそう
だ。
        *         *
 トム・クルーズとポーラ・ワグナーが昨年11月にユナイテ
ッドアーチスツ(UA)のトップとなってからの最初の作品
は、ロバート・レッドフォード監督の“Lions for Lambs”
がすでに始動しているが、それに続く第2弾として、ブライ
アン・シンガー監督による題名未定のオリジナルスリラーの
計画が発表された。
 この作品は、脚本を、シンガー監督の出世作『ユージアル
・サスペクツ』を手掛けたクリス・マクアリーが執筆したも
ので、内容は第2次大戦を背景にした集団劇とされている。
それ以上の内容は明らかにされていないが、シンガーは昨年
末にマクアリーからこのアイデアを聞かされ、クリスマス休
暇の間を掛けて2人で物語を練り上げたものだそうだ。
 そしてシンガーとマクアリーは、出来上がった企画を最初
にUAに持ち込み、直接クルーズ/ワグナーにプレゼンした
のだそうで、それに対しその場でゴーサインが出されたもの
だ。これについてワグナーは、「ブライアンもクリスも最高
の才能の持ち主。その2人の作品を第2弾に選べたことに、
トムも私も最高の興奮を覚えた」とコメントしている。
 一方、シンガーは、「作品の内容は、UAで映画化するの
に最適なものだと考えた。歴史上の物語はいつも自分を魅了
するが、その中から我々は、素晴らしい脚本となり得る最高
に興味を引かれる出来事を見つけ出した」とのことだ。撮影
は今年の夏に開始される。
 ただし、これが動くとワーナーが期待している“Superman
Returns”の続編に遅れが懸念されるが、元々シンガーは、
その前に小規模作品を撮りたいとしていたもので、以前には
ワーナーで“The Mayer of Castro Street”などの計画も発
表されており、その替りということなら問題はなさそうだ。
 なおUAは、投資会社のメリル・リンチから総額4億ドル
の資金提供を約束されており、年間4〜6本の映画製作を進
める計画ということで、この他にもスタンリー・アルパート
原作による“The Birthday Party”など、複数の計画が検討
されている。その中で、レッドフォード作品が第1弾として
今年11月9日の公開に向けて進められており、シンガー作品
がそれに続くものだ。公開は、ソニー傘下のMGMの配給で
行われる。

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04月15日(日)
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