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On the Production
by 井口健二
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■ゾディアック、インビジブル・W、ジェイムズ聖地へ…、寂しい時は…、毛皮のエロス、鉄板英雄伝説、ストレンジャー・C、ボラット
れられない2人は、偶然を装いまた出会うことになるが…
こんな物語が、スミスの体当たりの演技で描かれて行く。
日本での上映はR−18指定になっている。それだけ際どい映
像が綴られるものだが、実際これだけボカシが掛けられた作
品も久しぶりという感じだった。
ただし、映画はsexを描いていても、そこにはいわゆるポ
ルノグラフィとは違う視線が感じられた。実は映画を観てい
る間中、僕はこの作品を女性監督によるものだと思い込んで
いた。それほどに、自分の視線とは異なる感覚があった。
実際、作品はヴァーゴ監督の名義になっているが、撮影には
原作者のバーガーが付きっ切りだったようで、それを考える
と、事実上バーガーの監督作品なのではないかとも思ってし
まうところだ。
特にライラの心理面の描写は、いくら完璧な脚本があったと
しても、ここまで見事に描けるものかどうか。これはスミス
の役作りとバーガーが傍に居た賜物と言えそうだ。
ただし、自分が男性としては、どうしてもデイヴィッドの立
場が気になって観てしまうものだが、これはかなりきつい。
結局二股を掛けているような印象にもなってしまうし、辛い
ところだ。純粋に女性映画と呼べる作品なのだろう。
なおデイヴィッド役は、ミュージシャンで、『ハート・オブ
・ウーマン』や『ウォルター少年の夏の日』などに出演のエ
リック・パルフォーが演じている。

『毛皮のエロス』
     “Fur-An Imaginary Portrait of Diane Arbus”
1960年代にフリークスの写真で注目された女性写真家ディア
ン(映画の中でこう発音すると説明がある)・アーバスが、
フリークスの存在に目を開いて行く過程を描いた作品。
原作には彼女の伝記が揚げられ、その原作者が製作者にも名
を連ねているが、映画の巻頭には「本作は史実に基づいたも
のではない」というクレジットが表示される。その物語は、
「不思議の国のアリス」をモティーフにした不思議な感覚の
ものだ。
1958年、ニューヨークのアーバス・ファミリー写真スタジオ
には、多くの裕福な顧客たちが集まっていた。そこでは、デ
ィアンの両親が経営する5番街の高級毛皮店ラセックスの最
新毛皮ショウが開かれていたのだ。
ディアンはその会場で、写真家の夫アランのアシスタントを
したり、舞台裏ではモデルのスタイリストを務めたり、両親
を出迎えたりの神経をすり減らす作業を続けていた。
その同じ日に、スタジオが入居するアパートの階上に、引っ
越し荷物が運び込まれる。そしてその入居者は、顔をすっぽ
りと目出しマスクで覆った謎めいた人物だった。その姿に興
味を覚えたディアンは、夫からもらったカメラを手にその部
屋を訪ねるが…
脚本と監督は、2002年『セクレタリー』を手掛けたエリン・
クレシダ・ウィルスンと、スティーヴン・シャインバーグ。
この前作も相当に変だと感じたものだが、本作はそれに輪を
掛けたような作品だ。
なお、監督のシャインバーグは、叔父がディアンの友人だっ
たということで、幼い頃の彼が育った家には彼女の撮った写
真が飾られていたそうだ。それは彼女の代表作ともいわれる
大男のフリークスを写したものだったということだ。
写真家との面識はないそうだが、その写真を観て育った監督
が、満を持して描いた作品とも言えそうだ。しかも彼は、ウ
ィルスンに協力を仰ぎ、妄想を逞しくしてディアンの目覚を
描き切る。まさに究極の作品とも言えるものだ。
主演はニコール・キッドマン、相手役にロバート・ダウニー
Jr.。なお、フリークスのスペシャルメイクをスタン・ウィ
ンストンが担当している。白いウサギがいたり、天井からい
ろいろなフリークスが登場したり、現実の中にいろいろな要
素が詰まった作品だ。

『鉄板英雄伝説』“Epic Movie”
『最終絶叫計画』のチームが描いたパロディ作品。『最終』
はホラー映画を材料にしたパロディだったが、次に彼らは、
“Date Movie”(日本未公開)という恋愛映画のパロディを
手掛けており、今回は“Epic Movie”つまり大作映画のパロ

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04月10日(火)
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