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On the Production
by 井口健二
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■ボビ−、恋愛睡眠のすすめ、恋しくて、鉄人28号、かちこみ!、モンゴリアン・ピンポン、ポイント45、忍者
その路線をそのままに長編劇場版として製作されたこの作品
も、さらに大きな負の遺産を登場させ、まだ戦後が終ってい
なかった時代を見事に描き出したものだ。
物語は、すでに鉄人28号が完全復活して少年探偵金田正太郎
がそれを駆使している状況から始まる。
ところがある日、都心で巨大な不発弾が見つかり、鉄人がそ
の回収作業中、謎のロボット兵団が現れる。そして、鉄人が
苦戦を強いられたとき、1人の青年が正太郎からリモコンを
奪い、見事な操縦で敵を一掃する。その青年は金田ショウタ
ロウと名告り、自分が真の操縦者だと言うのだが…
このショウタロウの正体と、不発弾の巨大な破壊力の謎、そ
して鉄人と不発弾との関係など、幾多の謎を孕みながら物語
は展開して行く。
実は僕は、今川版のアニメーションは飛び飛びにしか見てい
ないのだが、正しくレトロという感じの作り込みは、最近の
ロボットアニメーションとは一線を劃した鉄人のデザインに
マッチして、すばらしい雰囲気を出していると感じた。それ
に物語も、戦後の時代背景の中で、見事にそれにマッチした
ものだったと覚えている。
そして今回の劇場版も、自分がぎりぎり覚えている傷痍軍人
や春日八郎の「お富さん」といった時代を見事に描き出した
ものだ。また描かれる物語は、もしかしたらあったかも知れ
ないパラレルワールドとして、見事に作られている。
それにこの物語によって、鉄人が新たな進化を遂げるという
展開も、納得できるものとなっていた。
なお、主題歌はテレビシリーズのときと同じく、旧作の主題
歌を千住明が編曲したものだが、それ以外の劇中の音楽を、
伊福部昭作曲のクラシック曲で構成しており、それも素晴ら
しい効果を上げている。

『かちこみ!〜ドラゴン・タイガー・ゲート』“龍虎門”
香港で35年以上連載されているという伝説的コミックスの映
画化。
時代背景は、ちょっとデフォルメされた現代。武道場の「龍
虎門」は、親を失った子供たちなどを集め、正しい人の道を
教えながら武芸の鍛練を進めさせていた。
主人公のタイガーはそこで兄貴分として慕われていたが、あ
る日、仲間と出かけた街のレストランでチンピラたちの横暴
に腹を立て、彼らを秒殺してしまう。そして仲間の1人が拾
った金印を持ち帰ったために、再び襲われることになる。
そこで主人公は、滅法強いドラゴンと名告る男と拳を交える
が、彼こそは、昔主人公が人の道を教えられた生き別れの異
母兄だった。しかし何故ドラゴンは組織にいるのか。
そして龍虎門には、羅刹門と名告る組織からの刺客が現れ、
道場主だった叔父が殺され、看板を奪われてしまう。この事
態にタイガーは、地方から龍虎門への入門を求めてきたター
ボと共に、強大な敵に闘いを挑むことになるが…
このタイガーを『PROMISE』のニコラス・ツェー、ド
ラゴンをアクション監督も務める『ブレイド2』のドニー・
イェン、ターボを『頭文字D』などのショーン・ユー。さら
にヒロインを『2046』などのドン・ジェが演じている。
街の風景などにはCGIも使用されて、ちょっと異形な雰囲
気も醸し出しているが、格闘シーンになると、何とも激烈な
アクションが展開する。そのアクションは、イェンの師匠ユ
エン・ウーピンから直伝の見せることに徹したもので、特に
1人対多数の乱闘シーンは見応えがあった。
まあ、正直に言って、この映画はこのアクションさえ楽しめ
ればいいもので、それはのべつ幕無しに登場してくる。これ
だけのアクションシーンを作り出すだけでも、これは大変だ
と思わせるものだ。
監督は、イェンがアクション監督を務めた香港映画『SPL
/狼よ静かに死ね』などの脚本家でもあるウィルソン・イッ
プ。また、音楽を川井憲次が担当している。

『モンゴリアン・ピンポン』“緑草地”
一昨年の東京国際映画祭「アジアの風」部門で紹介された作
品。その時は、スケジュールの都合で見られなかったが、幸
い日本公開されることになった。

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02月10日(土)
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