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On the Production
by 井口健二
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■龍が如く、許されざるもの、ブラッド・ダイヤモンド、ケータイ刑事2、あかね空、今宵フィッツジェラルド劇場で
前作は堀北、黒川、夏帆の出演だったが、今回は夏帆と小出
が主演している。そして相手役には、前作の草刈正雄、山下
真司に代って、今回は国広富之と松崎しげるが登場する。
この相手役のコンビから想像できるように、物語はパロディ
の要素が強いものだ。実は、第1作の時はサイトにアップし
なかったが、前作ではこのパロディがどうにも納得できず、
映画としての評価が出来ないものだった。
しかし今回は、パロディの部分は一応納得できたし、それに
前作ではあまりに子供だましのトリックとその謎解きに辟易
したが、今回は冒険が主体ということでそのようなところも
なく、子供だましは変わりないがそれなりに見ることは出来
たというところだ。
物語は、港区赤坂にある広大な森(?)が舞台。そこに向か
った国広扮する岡野刑事が消息を絶つ。そしてその後を追っ
た小出扮する銭形雷も。そこで、夏帆扮する銭形零と松崎扮
する松山刑事がコンビとなって捜査に向かうが…。
そこは、銭形一族に対抗する石川五衛門の末裔による陰謀が
張り巡らされていた。
正直に言って、松崎が突然懐メロを歌い出すなんていう展開
は、まともな神経では耐えられないものだが、そんなもので
も、主演の女子2人の人気に支えられて成立してしまうのか
な…。そんな映画も点々と見られる最近の日本映画界で、そ
の象徴とも呼べる作品だ。
でもまあ、こちらの癇に障らなければ、取り敢えず理解して
上げたいとは思うところで、その観点ではOKだったという
ことにしておきたい。ただ、もう少し何かの工夫があれば、
もっとキャラクターを活かせたような気もして、もったいな
くも感じたものだが。
なお、警視庁副総監役で宍戸錠が出演していたが、大画面で
は両頬の手術跡がかなり明瞭に見えてしまうもので、痛々し
くてちょっとショックだった。

『あかね空』
山本一力原作、直木賞受賞時代小説の映画化。
三軒長屋が並ぶ江戸下町・深川蛤町を舞台に、京都からやっ
てきた豆腐職人の男と、町娘の出会いからを描く人情物語。
男は南禅寺門前で修業を積み、京豆腐の味を江戸にもたらす
が、最初は珍しがられても江戸っ子の食感に合わないなど、
成功や挫折を味あわされる。それでも信念を曲げず、作り続
けた豆腐屋は、やがて大きな店を構えるほどに発展するが…
今度は跡を継ぐべき息子の不始末など家庭内の問題や、同業
者との確執などの世間との問題が襲いかかる。それでも健気
に生きて行く一家の姿が描かれる。
プロローグで永代橋の雑踏が登場する。約260メートルあっ
たと言われる橋の姿は文献や浮世絵などに基づいて再現され
たそうだが、想像以上に堂々としたもので、この映像だけで
これから始まる物語のスケールの大きさを見事に表わしてい
る感じがした。
この橋の風景はCGIで再現されているが、CGIは町並み
俯瞰など随所に登場して物語に彩りを加えて行く。CGIで
古い町並を再現して話題となった作品はすでにあるし、本作
はそれを売り物にしようというものでもないが、こんな風に
CGIが使われると、日本映画も少しずつ進歩していると感
じさせてくれるものだった。
出演は、主人公の夫婦に内野聖陽と中谷美紀。途中に18年の
時間経過を伴う物語は、ほとんど2役に等しいが、さらに内
海には別の役柄も用意されるなど、この2人の俳優には役者
冥利という感じの作品だ。
他には、中村梅雀、勝村政信、泉谷しげる、角替和枝、石橋
蓮司、岩下志麻らが共演。
2003年に監督業から引退を宣言した篠田正浩が企画となって
いるが、実は引退宣言の直後に原作と巡り合ったということ
で、篠田は助監督だった浜本正機と共に共同で脚本を執筆、
浜本に監督を任せている。
因に、原作の物語は、映画の後もまだ続くもののようだが、
試写後の舞台挨拶に登壇した浜本は、「長い原作を映画の長
さにする際、全体を掻い摘んで全部を映画化する方法もあっ
たが、自分は起用ではないので、一部分をきっちり描く方法
を採った」と語っていた。

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01月20日(土)
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