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On the Production
by 井口健二
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■マリー・アントワネット、Life、ユメ十夜、神童、情痴、オール・ザ・キングスメン
う清塚信也。そして成海は、5歳でウィーンに渡りウィーン
国立音楽大学予備課に入学したという、まさに神童と呼べる
12歳の和久井冬麦が担当している。年齢も近いピアニストに
よる吹き替えは、見事に違和感のないものだった。
また、清塚は大学の講師の役で出演している他、ピアニスト
の三浦友理枝、指揮者の竹本泰三、オルガニストのモーガン
・フィッシャーら実際の演奏家が出演、演奏も聞かせ、テク
ニックも見せてくれる。他には、手塚理美、吉田日出子、柄
本明らが共演。
脚本は、『リンダ、リンダ、リンダ』の向井康介。物語的に
は、主人公の病気の状況が、今一つ判り難いなど多少問題を
感じたが、演奏シーンを中心に据えなければならない作品だ
し、病気がメインテーマの話でもないから、これはこれでも
仕方ないところだろう。
ただし、これは技術的な問題だが、映画の中の声楽課学生の
歌唱シーンで、歌い出しのリップシンクが取れていないよう
な気がした。歌い出しを合せるのが難しいことは判るが、音
に合せて映像をずらせば良いだけの、テクニック的な問題の
ようにも思える。ちょっと気になったところだ。
『情痴』“Une Aventure”
短編やドキュメンタリー映画でカンヌやセザール賞を受賞し
てきたグザヴィエ・ジャノリ監督が2005年に発表した長編第
2作。夢遊病の女性と、彼女に興味を持った男性の姿を描い
たドラマ。
パリのとあるアパルトマンで恋人セシルと同棲生活を始めた
ジュリアンは、深夜勤務から帰宅したある日、激しい雨の中
を、アパルトマンの玄関口に裸足でずぶ濡れになって佇む若
い女性の姿を認める。
彼女は、向かいのアパルトマンに住むガブリエルという名の
子持ちの女性だったが、翌日街で買い物中の彼女と目が合っ
ても、憶えている様子もない。しかし再び深夜に遭遇したジ
ュリアンは、思わず彼女の家まで後を付けてしまう。
そんな深夜の行動は全く憶えていないガブリエルだったが、
やがて2人は昼間に言葉を交わすようになり、ある日ガブリ
エルは、ジュリアンをセシル共々自分の部屋に招く。そこに
は彼女の恋人のルイも一緒だったが…
映画は、最初のシーンで重大事件の起きたことが示唆され、
そこからはセシルのナレーションによる倒叙形式で話は進ん
で行く。その中で、ガブリエルとルイの関係や、どんどん深
みに填って行くジュリアンの行動が明らかにされて行くもの
だ。
物語の中でジュリアンは映像を集めたヴィデオテークの技術
者という設定になっており、映画の初めの方では、F・W・
ムルナウの『ノスフェラトゥ』の夢遊病のシーンが挿入され
たり、彼が参考として見る夢遊病の記録映像なども紹介され
る。
ただし、プレス資料に寄せられていた精神科医の解説による
と、描かれている症状は夢遊病よりも、むしろ解離性の人格
障害を示しているのだそうで、監督が意図したかどうかは別
として、その表現としては良く描かれているとのことだ。
実は原題の言葉のイメージと、本作がR−15指定になってい
ることなどから、事前には興味本位の作品を予想していたの
だが、映画は学術的とまでは言わないもののかなり真剣な物
語で、現代人の抱える不安やストレスを夢遊病に準えて見事
に描き出している。
その点では、現代人なら誰にでも当てはまる物語が描かれて
いるものだ。
主演は、『8人の女たち』などのリュディヴィーヌ・サニエ
とニコラ・デュヴォシェル。2人は共演後、一緒になったこ
とでも話題になった。
また映画の巻頭には、実験映画監督のビル・モリソンによる
“DECASIA”という実験映像作品の抜粋も挿入されていて、
これも興味深いものだった。
『オール・ザ・キングスメン』“All the King's Men”
1949年のアカデミー賞で、作品、主演男優、助演女優賞に輝
いたロベルト・ロッセン監督による日本未公開作品のリメイ
ク。
1920年代のルイジアナ州で、政治の腐敗を訴えて民間から当
選し、民衆からの絶大な人気を誇ったヒューイ・P・ロング
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12月29日(金)
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