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On the Production
by 井口健二
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■デジャ・ヴ、エンマ、孔雀、ピンチクリフ・グランプリ、フランシスコの2人の息子、モーツァルトとクジラ、輝く夜明けに向かって
1975年に製作され、77年のモスクワ映画祭で児童映画部門の
グランプリと最優秀アニメーション作品賞を受賞。日本では
78年に一度公開された作品の再公開。
主人公は山の上に店を構える自転車修理屋。助手は楽天家で
行動力のあるカササギと、何事にも慎重なハリネズミ。
ある日、彼らは新聞で以前に主人公の弟子だった男が、最新
の技術を使って自動車レースに勝ち続けていることを知る。
しかしその技術は、実は主人公の許から盗んで行ったものだ
ったのだ。そこで主人公は、昔作り掛けたレースカーを完成
させ、盗まれた技術の名誉回復のため、自動車レースに参戦
して元弟子と闘うことを決意するのだが…
人形アニメーションという触れ込みだが、いわゆるコマ取り
のシーンもある一方で、ラジコンやワイアーで遠隔操演され
たものもあるなど、いろいろな技術が集大成されている。そ
の辺は今見ると判りやすいが、30年前によくそこまで思いつ
いたと感心するものだ。特にワイアーによる操演技術に関し
ては、ノルウェーで特許も取られているようだ。
内容は、前半の牧歌的な展開から、後半は白熱のレースシー
ンということで、その構成もよく考えられている。実際、今
見てもそれほど古臭さは感じられなかった。まあ、いい意味
のレトロなムードで充分に楽しめる作品ということだ。
実は、映画を製作したのは元家具職人ということで、その職
人芸というか、ディテールへのこだわりは見ていて楽しくな
るものだ。ジオラマ映画とでも呼びたくなる程の見事な風景
も展開する。
またカササギ(実はアヒルとのハーフという設定だそうだ)
や、ハリネズミなどの脇役の描き方も丁寧だし、さらに夢を
実現するためのいろいろな画策や、一方、敵による妨害工作
なども破綻なく描かれている。
もちろん児童映画の範疇の作品ではあるが、大人の鑑賞にも
充分に耐えられる。こういう手抜きのない製作態度は、ぜひ
今の人たちにも感じ取ってもらいたいものだ。
なお今回の再公開では、78年当時に制作された日本語吹替え
版もディジタルリマスターで再登場するが、その声優陣は、
八奈見乗児、野沢雅子、滝口順平、富田耕生、大平透、大塚
周夫、中西妙子、原田一夫、富山敬、横沢啓子。声優ファン
にはそれも話題になりそうだ。
『フランシスコの2人の息子』“2 Filhos de Francisco”
2005年のブラジル年間ヒットチャートでベスト10に3曲も送
り込んだという兄弟デュオ、ゼゼ・ヂ・カマルゴ&ルシアー
ノの成功に至るまでの半生を描いた作品。
ゼゼことミロズマルは、ブラジルの農村地帯ゴイアス州で小
作農の長男として生まれる。父親のフランシスコは無類の音
楽好きで、すぐに第2子を産んで兄弟デュオとして売り出す
ことを夢見る。しかし子供は次々に産まれ、聖歌隊も出来そ
うな7人兄弟となる。
そしてフランシスコは、少し大きくなった長男に、最初はハ
ーモニカ、次には無けなしの財産を叩いてアコーディオンを
買い与え、さらに次男にはギターを持たせて、プロの音楽家
を目指すように環境を整える。
ところが、一家は地代を払わなかったために家を追われるこ
とになる。そして州都の都会にやって来た一家は、ぼろ屋に
住んで最低限の生活を始めるが、三男がポリオに罹るなども
あって、父親が工事現場で働く賃金では食べることもできな
くなる。
そこで、長男は次男と共にバスターミナルで歌い金を稼ぐよ
うになるが…。そこにちょっと怪しげなプロモーターが現れ
たり、悲劇に見舞われたり、録音してもレコードにならなか
ったり、自分の曲を他人が歌ってヒットさせたりと、失意の
日々が続いて行く。
と、何だかんだと言っても最終的には人気歌手になるのだか
ら、苦労はしただろうけど、結局は自慢話に見えてしまう。
ブラジルでは、『シティ・オブ・ゴッド』を越える大ヒット
だそうだが、それも歌手の人気の反映だから、作品の評価と
は違うものだ。
でもまあ、音楽映画というのは、その音楽が気に入ればそれ
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12月20日(水)
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