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On the Production
by 井口健二
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■ルワンダの涙、シルバー假面、妖怪奇談、素敵な夜ボクにください、僕は妹に恋をする、ルナハイツ2、パパにさよならできるまで
の「日本女性を口説く方法」という韓国語の本と、青森行き
のJR切符が残されていた。そして彼女は、それが青森の実
家に帰れという啓示とばかり、帰省することにする。
実家に戻った彼女は、スターと寝たことを吹聴するが、その
夜、街でばったり彼とであってしまう。実は彼は友人を訪ね
て青森に来ていたのだった。
こうして彼がスターとは別人であることがばれるが、彼がカ
ーリングの名選手であることを知った彼女は、彼をコーチに
してカーリングチームを結成。オリンピックを目指す女優と
して売り出そうと考える。
まあ、かなり無理矢理な話だが、基本的にラヴ・コメディと
いうのはこんなものだろう。その中でそれなりに筋が通って
いれば良い訳で、その点ではあまり気に掛かるところはなか
った。
それに現状ではまだカーリングのルール説明から始めなくて
はならないものだが、その点も主人公の女優が全くルールを
知らないというところから始めて、競技の基本動作なども丁
寧に説明され、『シムソンズ』より1段階進んでいる感じで
それも良かったところだ。
日韓の交流を描くということではせりふも問題になるが、そ
れぞれに通訳の出来る人物を配して、それがまた微妙な通訳
をするのがギャグになっていたりもする。また、言葉の通じ
ない2人の会話で、「約束」などの共通の言葉が意味を持つ
のも良い感じだった。
出演は、他に占部房子、関めぐみ、枝元萌、飛坂光輝、八戸
亮、木野花。基本的にラヴ・コメディではあるが、それなり
に楽しめる作品だった。それから、キム・スンウが若い吹石
相手に良い味を出していた。
『僕は妹に恋をする』
通称『僕妹(ボクイモ)』と言うらしい。小学館発行の雑誌
・少女コミックスの連載で、単行本は600万部売れていると
いう青木琴美原作のコミックスの映画化。
主人公は、双子の兄を持つ高校3年の少女。幼い頃から仲良
く育ってきた兄妹だったが、最近、兄は妹を避けるようにな
ってきている。そして妹には、兄の同級生の男子が恋心を打
ち明けているが…
実は、自分にも2歳下の妹がいたから、物語の発端の兄の心
情には結構理解できるところがあった。しかし、この兄妹が
高校3年にもなって2段ベッドの上下に寝ているという辺り
から、年齢の近い異性の兄弟姉妹を持つ者としては、かなり
落ち着かない感じになってくる。
しかも、その後が危惧した通りの展開になってしまったのに
は、ちょっと見ていること自体にもためらいを感じてしまっ
たものだ。
物語はこの後、宣伝担当者から「NGです」と言われた四文
字熟語になってしまうものだが、この究極とも言える禁断の
物語が、600万部のヒット作になっているという現実は、ち
ゃんと受けとめなければいけないところだろう。
全10巻ということだから、単純計算で60万人の読者がいるは
ずだが、その全員がこの状況の意味するところを理解できな
いとは思えない。それでも売れているというものなのだ。
もっとも、独りっ子が多いという時代では、単純に自分には
いない兄妹への憧れで読まれていることは考えられる。そん
な感情がこの作品を支えているのかも知れない。つまり、全
く非現実の物語として読まれているのだろう。
僕としては、そんなことを考えながら見ざるを得なかった作
品だった。しかし、実は先に公開された『地下鉄に乗って』
もそうだし、東京国際映画祭のコンペティション作品でも1
本、このテーマが出てくる作品があった。
つまり僕は、この秋以降に3本もこのテーマを含む作品を見
ていることになる。その3本の中で本作は、もっとも真摯に
テーマを追求した作品であることは確かだろう。その点では
評価しなくてはいけないものだ。
映画は時代の要求で作られるから、このテーマが時代の要求
ということなのだろう。その要求というのは、やはり独りっ
子が多いという辺りから来るのだろうか。
主演は、兄妹にジャニーズ事務所の松本潤とモデル出身の榮
倉奈々、他に、平岡祐太、小松彩夏、浅野ゆう子が共演して
いる。
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12月10日(日)
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