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On the Production
by 井口健二
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■ソウ3、DEATH NOTE(後編)、マウス・タウン、悪夢探偵
ままCGI化されている他、シークェンスの流れの中にちょ
っとした留めカットが入るなど、クレイアニメーションの雰
囲気を丁寧に再現している。
来日記者会見で監督は、「手法は気にせず楽しんで欲しい」
と言っていたが、もちろん見ている間は気になることではな
い。ただ、この作品がクレイアニメーションの歴史を背景に
誕生したことも確かな訳で…
その点について会見で僕がした質問に対して、アードマン所
属の監督からは、「もっとキャラクターに親密な作品には、
手造りのクレイの温もりは欠かせないので、その伝統は残し
て行く」との回答が出されていた。
なお、この作品は東京国際映画祭で特別招待作品として上映
されたものだが、実は事前に行われた内覧試写では、一部未
完成の部分があるという情報だった。しかし映画祭で上映さ
れたのは、エンディングなどの欠けていた部分も補充された
完成ヴァージョンということで、これが正真正銘のワールド
プレミアだったようだ。
『悪夢探偵』
ローマ映画祭とプサン映画祭でワールドプレミアされた塚本
晋也監督の新作。春に行われた撮影完了記者会見では、ヴェ
ネチアに出したいと言っていたが、それには間に合わず、ロ
ーマの直前にようやく完成したということだ。
同じ会見で監督は、「映画の編集には、作品を悪くしようと
する力が働くので、それに対抗するのは大変だ」と語ってい
たが、正に本作は焦らずじっくりと完成された作品というと
ころだろう。
物語は、他人の夢に侵入できる能力を持った男が主人公。し
かしそれは、恐怖に満ちた悪夢を共有することにもなるもの
で、主人公自身はそんな能力を持ってしまったことを呪って
いる。
そんなある日、若い女性の惨殺死体が発見される。それは状
況から自殺と見られたが、続けて中年の男性が自宅のベッド
で、自ら首を掻き切って死ぬ事件が発生。その様子は、悪夢
にうなされ、その命じるままに首を切ったとしか思えないも
のだった。
その事件を捜査する捜査班には、本庁からやってきた女性刑
事がいた。彼女はキャリア組での軋轢に疲弊して自ら転属を
願い出たものだったが、いきなりオカルト面からの捜査を命
じられて面食らう。しかし事件はますますオカルトチックな
様相を見せ始め…
こうして彼女は、悪夢探偵と遭遇する。そして彼女は、事件
解決のために自らがその悪夢を見て、彼女の見る悪夢に侵入
することを依頼するのだが…
出演は、悪夢探偵に松田龍平、女刑事に歌手のhitomi(予想
以上の出来)、他に、安藤政信、大杉漣、原田芳雄。そして
悪夢を操る謎の男に塚本監督本人が扮している。
物語はシリーズ化も予定されているものだ。その第1作とし
て本作では、設定も簡潔に説明されているし、またシリーズ
全体のコンセプトであろうスプラッターの部分も見事なもの
で、満足できる作品に仕上がっている。
作品は、『エルム街の悪夢』の流れを汲むものだが、『エル
ム…』では描き切れなかった悪夢が人を殺す様子なども納得
できるように描かれており、その点では一歩リードという感
じもするものだ。
ただ本作では、実際の悪夢との対決になってからがちょっと
あっけなく、ここでもう少し何か欲しかった感じだが、そこ
はシリーズの第1作ということで、設定の説明などにも時間
が割かれているから仕方がないところだろう。それもあって
今回は敵役を監督本人が演じているのかも知れない。
監督は、ほかの作品も作りつつ、節目々々にこのシリーズを
作っていきたい意向とのことだが、それなら次の節目を楽し
みに待ちたいものだ。でも、できたら第2作は、少し早めに
作った方が、効果はあるように思えるが。
(東京国際映画祭のコンペティション及びアジアの風部門で
上映された作品の紹介は、11月5日頃に掲載する予定です)
10月31日(火)
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