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On the Production
by 井口健二
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■映画監督って何だ!、TANNKA、モンスター・ハウス、父親たちの星条旗、手紙、ナイトメアー・ビフォア・クリスマス−3D
意識を呼び起こし、彼らを最大限に利用した宣伝イヴェント
の効果もあって140億ドルもの国債を発行。戦争を勝利に導
いた功労者だったとも言われる。
逆に言えば、彼らとこの写真がなければ、広島、長崎に原爆
が落とされずに済んだかも知れないということにもなりそう
だ。
しかもこの写真が、実は摺鉢山に最初に旗を立てた兵士たち
のものではなく、ある意味やらせであったという事実や、英
雄として迎えられた3人の兵士たちがその事実を言えないた
めに苦しむ姿が丁寧に描かれ、戦争に賭けてその中で踊り続
ける政治家たちの愚かさも浮き彫りにしている。
原作は、写真に写され生き残った3人の内の1人、衛生兵ジ
ョン・ブラッドリーの息子によって書かれたものだが、実は
彼の父親は、生前には戦場でのことを息子には話したがらな
かったそうだ。そんな父親鋸とを、亡くなった後に取材して
纏められた作品という。
僕の父親もそうだが、戦場にいて本当の戦争を知っている人
たちは、戦争のことを口にはしたがらないようだ。そんな重
い口の奥にあった本当の戦争とそれを取り巻く政治や社会の
状況を描いた作品。
今年の春、会見嫌いのクリント・イーストウッドが日本では
初めて登壇した記者会見で、戦争の愚かさを強調していたこ
とを思い出し、監督の意志を再確認できる作品だった。
なお撮影は、現地の硫黄島でも行われているが、俳優のいる
シーンの多くはアイスランドで撮影されている。そして、島
の周囲を埋め尽くす艦船は全てディジタル・ドメイン制作の
CGIによるもので、その豪勢さは戦争が如何に金を浪費す
るものか、そんな感じも伝わってくる映像だった。
本作は東京国際映画祭のオープニングを飾った後、10月28日
から日本公開され、その後には同じイーストウッド監督によ
る日本軍側を描いた作品『硫黄島からの手紙』が12月8日の
公開となる。
今回の作品は、厳密には戦争を描いた映画ではないとも言え
る。しかし12月公開の作品では、正に戦争を描かざるを得な
いもので、そこで如何に戦争の愚かしさを描き切れるか、次
の作品も注目される。
『手紙』
『秘密』『変身』などの映画化作品でも知られる東野圭吾原
作の映画化。
上記の2本はいずれもファンタスティックなテーマを含んで
いたものだが、本作はその様な作品とは打って変わって、強
盗殺人の罪で無期懲役となっている兄を持つ男性の姿を描い
た、ある種の社会派ドラマとも言えるものだ。
主人公の兄は、空き巣のつもりで入った家で帰宅した家人と
遭遇し、刃物で反撃されて、その刃物で相手を刺殺してしま
う。そこには偶然の要素も多分に見られるが、罪名は強盗殺
人。それは無期懲役以上の罰を避けられない犯罪だった。
しかも弟にとってその兄は、両親のいない環境で自分に学が
なく苦労しために、弟にだけは大学進学をと、身体を壊して
まで働いてくれた人であり、たった一度の過ちが取り替えし
のつかない事態になってしまったことも明らかだった。
しかし、その兄が服役してからは、数多くの差別が弟の身に
降りかかる。そのため弟は、幾度も仕事場を追われ、住まい
を追われ続けている。物語は、そんな兄弟の間で交わされる
手紙の形式で始まる。そしてその手紙がいろいろなドラマを
生み出して行く。
そんな弟に対する差別が、理不尽なものであることは誰の目
にも明らかなものだ。しかし世間ではそんな差別がまかり通
っていることも明らかな事実だ。物語の中ではネットによる
卑劣な書き込みの話も登場するが、これなどは茶飯事に目に
するものだ。
かと言って、自分がそのような差別に対して何をしているか
と言われると、何も答えられないことも事実だろう。逆にそ
んな差別に逢わないよう汲々としているのが現実というとこ
ろだ。この作品はそんな差別に対する憤りが見事に描かれた
作品だ。
ただし物語は、主人公たちに対しても甘い目を向けているも
のではない。そこにある厳しい現実との対比は、主人公たち
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10月20日(金)
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