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On the Production
by 井口健二
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■バタリアン5、日本心中、オープン・シーズン、ファースト・ディセント、Brothers of the Head、氷の微笑2、あるいは裏切りという名の犬
切り立った斜面を滑走するまでのことだが、ゲレンデしか知
らない若者2人に対する雪崩発生時の人命救助の訓練など、
山中ならではの準備も描かれている。
その一方で、最近の25年間で急激に人気の高まったスノーボ
ードを取り巻く状況の変化などが、東京ドームで行われた競
技会の様子や、初の正式採用となった長野オリンピックなど
の記録映像も含めて、判りやすく解説されている。
それにしても、特に自然界を良く知る年長のボーダーたちの
山に対する真摯な態度が、この作品の味わいを見事なものに
している。それに対するトリノオリンピック金メダリストの
若い2人が、先輩たちの物凄い滑りを目の当りにして純粋に
感激しているシーンなども素晴らしいものだ。
映像の中にも出てくるが、初期には他のXスポーツなどと同
じく、スノーボードも若者カルチャーとして突っ張った部分
が強調されて紹介された時期もあったようだ。しかし、ゲレ
ンデは別として、実際の山での滑りには、そんな浮ついたも
のは介在できないことも明らかだ。
そんな中で、「こんな作業をするのは何年ぶりだ」とブツブ
ツ言いながらも、人手の少ない山中で各世代のチャンピオン
たちが並んで、キッカーと呼ぶ踏み切り台を作り、新雪の斜
面で雄大なジャンプを繰り広げる映像なども見事だった。
そして最後は、天候の問題などで一度は諦めた最強の斜面へ
の挑戦。その初めての滑降が作品を締め括っている。
出演は、トリノ金メダリストのショーン・ホワイトとハナ・
テーター、国家対抗のオリンピックに反対して長野を辞退し
たティリエ・ハーコンセン、本作の撮影まで長く消息不明だ
ったという伝説のボーダー=ショーン・ファーマー。他にニ
ック・ペラタ、トラビス・ライスなど、ボーダー界では名の
知れたトップスターが結集しているようだ。
『ブラザーズ・オブ・ザ・ヘッド』
“Brothers of the Head”
ブライアン・オールディスが1977年に発表した同名の中編小
説の映画化。
この原作から、テリー・ギリアムの未完作品“The Man Who
Killed Don Quixote”にも参加した脚本家のトニー・グリゾ
ーニが脚色、同作の製作中断までを追ったドキュメンタリー
『ロスト・イン・ラ・マンチャ』を手掛けたキース・フルト
ン&ルイス・ペペ監督が2人の共同では初めての劇映画とし
て撮った作品。
1970年代のイギリスで活躍したと称する結合体双生児のギタ
リストとリードヴォーカルによるバンドThe Bang Bangの栄
光と挫折の物語を、監督らが過去の作品で培ったドキュメン
タリーの手法を駆使して映画化した。
映画は巻頭で、当時兄弟の映画を作ろうとしたが未完に終っ
たと称するケン・ラッセル監督や、原作者のオールディスが
登場して、思い出を語る場面から始まっており、特に映画が
未完に終ったという辺りは、ギリアム作品のことを思い出し
てしまうところだ。
そして兄弟の生い立ちから、父親によってプロモーターに売
られ、そのプロモーターの指図で、ギターを一から練習して
バンドを作り上げて行く過程が描かれる。そしてその過程で
近づいてくる女性や、その女性を巡る2人の関係の微妙な変
化が描かれて行く。
結合体双生児を描いた作品は、1999年の東京国際映画祭のコ
ンペティションに出品された“Twin Falls Idaho”や、ファ
レーリ兄弟監督の『ふたりにクギづけ』などいろいろ作られ
ているが、大抵はコメディタッチにして、深刻な部分を緩和
している感じだ。
しかし今回は、ドキュメンタリータッチでかなり深刻に描い
ており、特に女性を巡る問題はどの作品も扱ってはいるが、
今回はその切実さが種々の問題の原因になって行く人間模様
も描き出している。
ただし、ドキュメンタリータッチを通しているために、その
辺の心理描写があまり克明でないのは、痛し痒しというとこ
ろだ。
また、劇中で演奏される音楽の大半は、1974年当時から現役
という作曲家クライヴ・ランガーが手掛けたもので、当時の
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10月10日(火)
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