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On the Production
by 井口健二
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■アンノウン、とかげの可愛い嘘、スネーク・フライト、カオス、エレクション、アジアンタムブルー、イカとクジラ
防犯カメラが巧妙に避けられていることが判明すると、直ち
に報道の映像を押収して逃亡した犯人を特定するなど、刑事
たちが知恵を絞って犯人を追いつめて行く様が見事に描かれ
る。しかも、犯人の知性がかなり高い設定なので、その対決
は正に知能戦という感じのものだ。
それでも着実に犯人を追いつめ、また犯人がそれを巧みにか
わして行くという展開も、爆破などのアクションも絡めてな
かなか上手く描かれていた感じだ。脚本監督は、『Uボート
・最後の決断』などのトニー・ギグリオ。
犯人側が手の内を晒し過ぎで、自分の首を絞めているような
面もあるが、全体は緊迫感も充分だし、フラッシュバックに
よる種明かしも、あまりわざとらしい感じではなかった。全
体としては佳作という感じで、特にがっぷり組んだ3人の男
優の演技は楽しめた。
それにしてもステイサムは見事な主役ぶりで、『トランスポ
ーター』でファンになった僕としては嬉しい限りだ。他に、
『ドラキュリア』『リーグ・オブ・レジェンド』などのジャ
スティン・ワデルが共演している。
『エレクション』“黒社會”
17世紀に中国本土が満州民族の清王朝に征服された際、漢民
族王朝の復活を目指して結成された三つの漢民族秘密結社、
その一つ洪門会は、戦前の抗日運動や戦後は中国共産党とも
対抗し、1960年当時には300万香港市民の内、6人に1人が
何かの関係を持つとさえ言われた。
しかしその存在意義は徐々に変質し、今では黒社会と呼ばれ
るいわゆる組織暴力団と見なされている。その中でも和連勝
会は、構成員50000人を数える香港最大の組織だった。
その和連勝会で2年に1度の会長選挙が行われる。候補者は
2人、その一方は沈着冷静で誰の目にも会長の器と考えられ
ているロク。他方は短気で暴力的だが、会の勢力拡大にも熱
心なディー。そのディーは大金をばらまいて自分への支援を
取り付けようとしていた。
ところが、選挙の趨勢を握る幹部会は、秘密会を開いてロク
の会長を決めてしまう。だが実際に会長となるためには、前
会長から「竜頭棍」と呼ばれる代々会長職に受け継がれてき
た彫刻を受け取らなくてはならない。ディーはただちにその
奪取を狙うが…
この選挙の裏取り引きや竜頭棍の争奪戦。それに、選挙結果
が内部抗争に発展することを恐れる警察の動きなどが絡み合
って、事態は緊迫の度を高めて行く。
基本的にはやくざものだが、描かれている人間関係は、多分
どこかの国の政党の総裁選挙も同じなのだろうな…何てこと
を思わせる、そんな面白さがあった。まあ香港の特殊性で、
本土との関係なども描かれるが、それも常に人間を中心に置
いて描いているものだ。
そして勝者は、負けた側の陣営にも配慮して次代を構築して
行かなければならない、その辺のシビアな描き方も納得する
ところだった。また、勝者が行う洪門会伝統の儀式の様子な
ども紹介されていて、それも面白かった。
監督は、『ターンレフト・ターンライト』などのジョニー・
トー。出演は、ロク役に『トゥームレイダー2』などのサイ
モン・ヤム、ディー役を『愛人/ラマン』などのレオン・カ
ーファイ。
なお、映画の全体はドキュメンタリータッチで統一され、特
に、その雰囲気を醸し出すカメラワークや色彩を含む映像に
は出色のものがあった。撮影は『男経ちの挽歌』などのチェ
ン・シウケン。本作は、カンヌ映画祭のコンペティションに
出品された。
『アジアンタムブルー』
大崎喜生原作によるラヴストーリーの映画化。
エロ雑誌の編集者が巡り逢った一人の女性カメラマン。水溜
りに写る映像ばかりを追い続ける彼女に心引かれた編集者は
…物語は、東京からニース近郊のジャン・コクトーが愛した
町ヴィルフランシュ・シュル・メールへと拡がって行く。
多分、今の日本の女性にはこういうのが一番受けるのだろう
なあという作品。主演の阿部寛、松下奈緒は共にテレビのそ
の手のドラマで人気があるようだし、まさに狙い撃ちという
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09月30日(土)
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