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On the Production
by 井口健二
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■百年恋歌、合唱ができるまで、レディ・イン・ザ・ウォーター、世界最速のインディアン、13の月、椿山課長の七日間、アントブリー
ンヌヴィルに挑む。しかも企業などの支援は一切なく、独力
で全てを成し遂げたのだ。
瀟洒な家が並ぶ住宅地の中、草ぼうぼうの敷地に建つガレー
ジ兼用の住居。マンロー自身が小屋と呼ぶこの家で、彼はバ
イクの改良を続けてきた。それはエンジンのピストンまで自
作する徹底したもので、しかも資金のない彼はほとんどを廃
品の再利用で賄う。
それでも彼は、ニュージーランドでの2輪車のスピード記録
を次々に塗り替え、やがて地上のスピード記録のメッカ=ボ
ンヌヴィルを目指すようになる。しかしバイクの輸送費や、
彼自身の渡航費もままならない。そんな彼をバイク中間達も
支援はしてくれるが…
それでも彼は、老いて行く自分の身体を考え、一世一代の冒
険に旅立って行く。そこにはいろいろな出逢があり、トラブ
ルもあるが、ついに彼は聖地で世界記録を樹立するのだ。
監督は、ニュージーランド出身で、『13デイズ』や『リクル
ート』など最近はハリウッド活躍するロジャー・ドナルドソ
ン。実は、彼は1971年にマンロー自身に会ってドキュメンタ
リーを制作しており、以来念願の企画だったという。
しかし、もっと物語を派手にしろと言うハリウッドで映画化
することを拒み、ニュージーランド資本と、日本からの資金
提供で実現したもののようだ。製作総指揮には3人の日本人
の名前が並んでいた。
主演は、アンソニー・ホプキンス。ハンニバル・レクター役
でオスカーも受賞したサーの称号を持つ名優は、BBCのテ
レビドラマで水上最速記録を作ったドナルド・キャンベルを
演じたこともあるということで、よくよくスピード記録に縁
があるようだ。
そのホプキンスが演じたのは、頑固一徹ではあるが誰にでも
好かれるという希有な性格の持ち主。しかも最後は真の勝利
者になるというこのキャラクターを、実に生き生きと描き出
している。
これも、人々が大らかだった時代の物語と言えるかも知れな
い。そんな中で、不断の努力で目標に突き進んで行った男の
物語。努力と勇気が見事に表現された作品だ。
なお、物語の中では電気毛布から取ってきたというアスベス
トのシートを、こんなものは要らないと言って外すシーンが
あり、それにもニヤリとした。

『13の月』
俳優池内博之による初監督作品。
都会での会社勤めを辞めて、海辺の故郷に帰ってきた男が、
12年前にある事情で別れた女性と再会する。彼女も同じ事情
で12年間を悔恨の想いで生きてきた。しかし彼女は、その後
に巡り会った男と共に生きる決心をしていたが…
1年を13月に分けた暦。それは毎年が全く同じ暦になるとさ
れるものだが、そこには1日だけ暦から外れた日が生じる。
そんな日に起きた密かな過ち、しかしそれは永遠の悔恨を生
んでしまう。
青春時代には起こりがちな出来事と、それに引き摺られた男
女。誰にでも起きてしまったかも知れない、そんなドラマを
丁寧に描いた作品だ。
何せプレス資料が乏しいので、どういう状況で製作された作
品なのか皆目判らないが、脚本家には3人の名前が並んでい
て、脚本はかなり練り込まれているものに感じた。そして監
督の池内は、その脚本を無理をせず丁寧に撮り上げている。
僕は最初、残される家族側に感情移入を持って観てしまった
が、純愛ものとして観ればこの結論も有りうることだろう。
その意味では物語に破綻もなく、脚本は日本映画にしては良
くできているものに感じられた。
主演は、柏原崇と大塚寧々。柏原はトラブル明けの復帰作と
して、撮影時に話題になっていた記憶がある。それに津田寛
治、吉沢京子、ミッキー・カーチスらが共演する。
題名の由来などでちょっとファンタスティックな側面はある
が、全体的には普通のドラマだ。取り立てて言うべきものも
あまりない。ただ監督に真摯な姿勢は感じられるし、今後の
作品にも少し期待を持ちたくなった。
実は内容的に、日本人よりも海外での評価が受けられそうな
感じがした。出来たら海外の映画祭にでも出して、ちょっと

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09月29日(金)
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