ID:47635
On the Production
by 井口健二
[460335hit]

■キング/罪の王、アタゴオルは猫の森、人生は奇跡の詩、シャギー・ドッグ、スキャナー・ダークリー、オーロラ、ライアンを探せ!
物語を知った上でもう一度見て欲しい作品だ。

『シャギー・ドッグ』“The Shaggy Dog”
1959年にディズニーがアメリカ国内では初の実写作品として
製作した『ぼくはむく犬』をオリジナルとする2006年作品。
オリジナルは、犬恐怖症の郵便配達の父親の許で暮らす息子
が、古代の魔除けの呪いで犬に変身させられたものだが、実
は1976年にはその続編が作られ、続編ではその息子が成長し
て、突然犬に変身する体質を隠しながら、地方検事に立候補
する話だったようだ。
そして本作は、両方の物語にインスパイアされたもので、主
人公は前2作とは異なるが、地方検事という設定。しかし犬
嫌いで、さらに仕事に追われ家庭も顧みない駄目父親。その
父親が突然犬に変身させられ、家族との絆に気付かされると
いうお話だ。
映画は、チベットで1匹のむく犬が拉致されるところから始
まる。そのむく犬は、300年以上生存していると推定され、
そのDNAから長寿の秘密を解明するためにアメリカの製薬
企業が拉致を決行したのだ。
一方、その製薬企業には動物実験の疑いがあるとして、近く
の高校の教師や生徒たちが真相究明のデモを行っている。そ
のデモ隊の中には主人公の長女も入っていた。そして、その
教師が企業の施設への放火の罪で起訴され、主人公はその検
察官に任命される。
ところが、研究施設から逃亡したむく犬が主人公の手に噛み
つく。そしてそこから注入されたDNAは、主人公を徐々に
むく犬に変身させ始める。こうして変身の始まった主人公の
奇行で裁判は目茶苦茶。そして、変身の完成した主人公は、
人間との言葉も通じなくなって…
この変身に至る過程での主人公の奇行振りが、犬好きには堪
らないシーンの連続。演じているティム・アレンは相当の愛
犬家らしいが、如何にもありそうな犬の動作を見事に再現し
てくれる。実際に見ていてニヤニヤし通しだった。
多分、足を挙げての放尿などは誰でも思いつくだろうが、そ
れ以外にも実にいろいろな、犬ならやってしまいそうなこと
をやって見せてくれるのだ。
一方、研究施設内のシーンでは、VFXも駆使して犬になり
掛けのいろいろな動物が登場する。さりげなく登場するから
特別な感じはあまりしないのだが、かなりグロテスクなもの
やVFXによる名演技もあって、実はかなり見ものだった。
VFXは、初期の『スター・ウォーズ』で活躍し、その後に
ILMから独立したフィル・ティペット主宰のティペット・
スタジオが担当している。
また、変身したむく犬やその他の動物の実写の演技は、『1
01』から『オーシャン・オブ・ファイアー』まで多数の作
品手掛けてきたアニマル・トレーナーが担当しており、こち
らも素晴らしい演技を見せてくれる。
関東地区では、舞浜にあるシネマイクスピアリ1館での限定
公開のようだが、犬好きにはぜひお勧めしたい作品だ。

『スキャナー・ダークリー』“A Scanner Darkly”
フィリップ・K・ディック原作の映画化。
近未来の物語。人々は物質Dと呼ばれる麻薬に取り憑かれて
いる。その麻薬を捜査するための組織が作られ、その捜査員
たちは各方面で内偵を続けているが、その中にはDに侵され
てしまう者も少なくない。
主人公のボブ・アークターは、そんな内偵捜査員の1人だっ
たが、彼が内偵しているグループはテロをも辞さない危険な
組織になろうとしていた。ただしそれは、Dがもたらす妄想
の一つかも知れない。
そしてアークターには、捜査本部からも精神状態に疑念が出
されている。それでも彼は精神状態のテストを受けながら、
任務を続けていたが…
身分を明かせない捜査員たちが人前に出るときには、数100
万通りの人間の姿が写し出されるというマスクとジャケット
を着用するなど、近未来的な要素も多少は登場はするが、描
かれている物語の本質は人間の内面に関わるものだ。
つまり映画では、ディック特有のアイデンティティー喪失の
問題が描かれる。しかしそれは、見る側にも多分に挑戦的に

[5]続きを読む

09月10日(日)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ

[4]エンピツに戻る