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On the Production
by 井口健二
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■Oiビシクレッタ、旅の贈りもの−0:00発、アダム、雨音にきみを想う、白日夢、もしも昨日が選べたら、待合室
して少女の求めによって家に送ってきた男は…。こうして巡
り会った2人だったが、男は裏社会との繋がりが危険な状態
になっていた。
裏社会を背景としたいわゆる香港ノアールの系統の作品とい
うことになるのだろうが、この映画は派手なアクションや銃
撃シーンがあるものではなく、静かな雰囲気の中で展開して
行く。確かに特異なシチュエーションだし、メインとなる純
愛は他愛のないものだが…
物語全体の静かな雰囲気は、香港映画というより本土の映画
の感じがした。ジョー・マ監督は香港でコメディ作品のヒッ
トメーカーのようだが、本作ではコメディ要素はほとんど排
し、リアルな展開の中で見事なドラマを展開している。その
手腕は確かなものだ。
実際、余分な会話や描写を徹底的に刈り込んだ脚本編集は、
監督=演出家の手腕が問われるものだが、この作品はその点
でも成功している。特に、幼い少女をじっくりと撮った演出
には感心させられた。
共演は、元サッカー香港代表選手だったチャン・コキョン。
それに彼の娘役で名演技を見せてくれるチャン・チンユー。
香港も南方の土地だから、この映画のような豪雨は当然ある
のだろうが、何か新しい香港を見せてくれたような、そんな
感じもした。

『白日夢』
1964年製作、翌年発表される『黒い雪』で刑事裁判にまで発
展した猥褻論争を巻き起こす武智鉄二監督の劇映画第1作。
今年の秋、「武智鉄二全集」と称して10作品が連続上映され
る予定の1本。
僕は、この映画の製作当時は未成年だったから直接作品を見
ることはできなかったが、その後に出版されたキネマ旬報の
エロス特集号などでスチル写真を見て妄想を逞しくしていた
作品の1本だった。
物語は、谷崎順一郎の戦前に発表された戯曲に基づくが、映
画化は歯科医に治療に来ていた男性患者が抜歯のために麻酔
され、その中での夢想として描かれる。そこでは、歯科医の
前で大きく口を開ける女性がエロスを醸し出すのだ。
題名からして、かなりファンタスティックな内容を期待した
が、その展開は期待以上のものだった。それは今回はアヴァ
ンギャルドという言葉で括られるが、当時のフランスのヌー
ヴェルヴァーグが進もうとしていた道にも通じていたとも言
えそうだ。
男の夢想によって展開する物語だから展開は取り留めもない
し、その展開の中でいろいろなエロスの形が繰り広げられて
行く。その描写は、42年後の今にしても斬新なものだし、極
限的にファンタスティックなものでもある。
もちろん全体の雰囲気はレトロなものではあるけれど、モノ
クロ(パートカラー)の映像には鮮烈さと、何より新しい物
を造り出して行こうとする意欲に満ちあふれている。まさに
意欲的な作品で、その想いは今にもはっきりと伝わってくる
ものだ。
監督は1912年の生まれというから、当時52歳。42年前の52歳
は現代よりずっと老けた感じがしたはずだが、それでこの作
品は、いやその後も1987年まで作品(遺作は『白日夢2』と
言われる)を作り続けた原動力は…何がそうさせたかも考え
たくなる。
もちろん猥褻な作品だし、芸術的に描かれてはいるが、目的
が猥褻性であることは明白なものだ。しかもその猥褻さは、
42年後の今も充分に通用するものだった。
なお、クライマックスは銀座晴海通りでロケーション撮影さ
れており、イエナ書店などがちらっと写っていたのは懐かし
かった。

『もしも昨日が選べたら』“Click”
アダム・サンドラーの主演で、今年6月のアメリカ公開では
初登場第1位を獲得したファンタスティックコメディ。
主人公は、建築事務所に勤めるデザイナー。ケイト・ベッキ
ンセール扮する優しい妻と幼い息子と娘に恵まれているが、
才能の認められる彼には会社の要求も多く、自宅でも仕事に
追われる毎日。しかし彼には将来の事務所の共同経営者の席
も待っているのだ。
ところが、家庭を顧みなくなった彼には、妻も子供も愛想を
尽かし始めている。そして大きな仕事を抱えて帰宅した夜、

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08月31日(木)
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