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On the Production
by 井口健二
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■奇跡の朝、ルイーズに訪れた恋は…、海と夕陽と…、バックダンサーズ、46億年の恋、サンクチュアリ、エリー・パーカー、16ブロック
肉体パフォーマンスがその目標だから、努力している姿も描
かれるし、実際主演の4人の演じるに当っての頑張りも伝え
られると、その評価もしやすい作品だ。
しかも、脚本監督がテレビで、俗に言う「月9」のトレンデ
ィードラマを多数手掛けてきた人ということでは、演出のつ
ぼも心得ているし、見ていて大船に乗ったような安定感のあ
る作品だった。
テレビ出身の監督も当たり外れがあるが、この辺のクラスに
なるとさすがという感じだ。特に、日本のトップダンスパフ
ォーマーたちを多数動員したダンスシーンはなかなか見事な
もので、そこに主演の彼女たちのダンスを織り込むテクニッ
クも上手いと感じた。
正直に言って、彼女たちのダンスは、頑張った成果はあって
も他のプロダンサーには叶わないものだが、そこを見事に上
手く見せている感じで、その辺でもはらはらもせずに充分に
楽しめる構成になっていた。
70年代がキーワードの一つになっていたりして、団塊世代の
いい年になった大人が、過去の自分の青春時代を振り返って
観るのにも、良い感じの作品に思えた。ただし、若い女性ば
かりが主人公の作品には、気恥ずかしさも伴うが…

『46億年の恋』
正木亜都(梶原一騎/真木日佐夫)による原作『少年Aえれ
じぃ』から、NAKA雅MURAが脚色、三池崇史が監督し
た作品。
同じ日に、共に殺人の罪で収監された2人の若者。一人はゲ
イでひ弱な感じだが、もう一人は粗暴で手当り次第に他人に
襲い掛かる。ところがその粗暴な男が、監房の中ではゲイの
男を守り続ける。しかし、ある日ゲイの男が粗暴な男の首を
絞めているところが発見される。
なぜゲイの男は、自分の保護者であった男を殺さなければな
らなかったのか、警察の捜査が始まるが、周囲の人間たちの
証言は2転3転して行く。果たして監獄の中で何が起きてい
たのか…
という原作はミステリーだったと思われるが、描き出された
映画は全く予想もつかないものだった。例えば監獄の屋上か
らは、一方に巨大なピラミッド、他方に宇宙ロケットの発射
場が見えるなど、シュールとしか言いようのない映像が次々
に展開して行く。
さらに背景となるゲイの世界の描き方も、ダンスがフィーチ
ャーされたり、また舞台となる監房のデザインや、衣装デザ
インなども、とにかく全てが尋常ではない。
しかしそれらが全体として統一感があり、どれとして浮いた
感じがしないのは、さすが監督の手腕というところなのだろ
うか。三池作品は、どちらかというと当たり外れを感じる方
だが、今回は当たりの作品だと思う。といっても、描かれた
世界は普通ではない。
脚本家の名前は記憶にあるものではないが、この世界のどこ
までが彼の執筆によるものかも気になる。監督自身は極めて
多作だから、普通の脚本から一気にこれを作り出せたとも思
えないが、この映像感覚が脚本の指示だとしたらそれも大し
たものだ。
もちろんここには、セット:佐々木尚、衣装:北村道子とい
う2人のデザイナーの仕事も重要なポイントになりそうだ。
三池作品は、いわゆる芸術映画ではないのだから、普通に見
ればいいものだが、本作は観客に向かって挑戦を仕掛けられ
た感じだ。でもこれを芸術と観るのは絶対に間違いだろう。
監督たちは、いい意味の悪ふざけで作っていると考えたい。
そう見ると楽しい作品だ。

『サンクチュアリ』
息子が行方不明になっている女性と、その子供を誘拐し殺し
たのではないかと疑われている女性。そんな2人の女性の関
係を、時間軸を遡りながら描く構成の作品。
監督の瀬々敬久は、元々がピンク映画の監督であり、今まで
にもピンク系で上映された後に、一般映画として公開される
作品の試写を観たことがある。
しかし今回は、最初から一般映画として公開される作品のよ
うだ。といっても、描かれる2人の女性の行動にはかなり際
どい描写もあるし、作品自体もR−15に指定されたものだ。
従って本作も、基本はピンク映画と考えて良いと思われる。

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08月10日(木)
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