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On the Production
by 井口健二
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■第112回
 その紹介によると、作品は“Ghostbusters in Hell”と題
されており、脚本はダン・エイクロイドが執筆。物語は、前
2作のような特定の敵が出てくるものではなく、ニューヨー
クに似た街そのものが地獄と化しているという設定。しかも
それは現実と表裏一体のちょっとした狭間に存在していると
いうものだ。なおライミスの発言では、「毎秒24コマの映画
フィルムで、コマとコマの間の暗黒のようなもの」と説明さ
れていた。
 さらに、その実現には特別な装置が開発されたということ
だが、その装置はブルックリンの工房にあるとのことだ。そ
して実はこの辺の紹介が、撮影用の機材の話なのか、物語の
設定なのかよく判らないのだが、その装置を出ると、見た目
は同じ街だが実は地獄になっていて、車は動かず、また運転
手は口々に違う言語を話しているのだそうだ。まあ、この手
のクリエーターの発言は、いつもどこからがフィクションな
のか判らないものだが、取り敢えずそういう映画が計画され
ているようだ。
 なお配役は、ビル・マーレイ、エイクロイド、リック・モ
ラニスのオリジナルメンバーの再登場を期待したが、実は、
マーレイが出演を拒否したのだそうで、現在は替りにベン・
スティラーに参加を呼び掛けているとのこと。ニューヨーク
にスティラーはお似合いだが、実現には人気者の彼のスケジ
ュール調整も大変になりそうだ。
 また、前2作を監督したアイヴァン・ライトマンと、共演
したシゴーニー・ウィーヴァーの名前は今回は出ていなかっ
たが、どうなるのだろうか。
        *         *
 2005年12月1日付第100回などで紹介したジュール・ヴェ
ルヌ原作『地底旅行』の現代版リメイク“Journey 3-D”に
ついて、その日本配給権をギャガが獲得したことが発表され
たが、それと同時に“Mimzy”というSF作品の配給権も併
せて獲得したことが紹介された。
 この“Mimzy”というSF作品、報道の中の紹介によると
「未来から送られてきた玩具によって影響される子供を巡る
物語」となっていたが、実は、この作品はヘンリー・カット
ナーがルイス・パジェット名義で1943年に発表した“Mimzy
Were the Borogoves”(邦訳題ボロゴーブはミムジー)の映
画化なのだ。
 と書いて、何を興奮しているのだと思われそうだが、実は
この原作は1965年のSFマガジンに翻訳が掲載されており、
当時読んだ僕にとって最も好きなSF作品の一つと言えるも
のなのだ。また、この意見は僕だけのものではないようで、
内外のSF研究書を見てもカットナーの代表作として必ず挙
げられている名作。その作品が映画化され、日本公開も決ま
ったということだ。
 お話は上記の紹介文の通りだが、補足すると、その玩具に
よって子供たちの頭脳は現代人の知識を超えて進化して行く
が、親たちはそれをなす術もなく、ただ見ているしかないと
いう、親の立場からすればかなり切ない展開となる。
 脚本は、『サハラ』のジェームズ・V・ハートと、『コン
・エアー』のジム・コーフが最初に手掛け、それを『ゴース
ト』のブルース・ジョエル・ルービンがリライト、さらに、
『ヒストリー・オブ・バイオレンス』のトビー・エメリッヒ
がセカンドリライトしたというもので、かなり難航したよう
だが、それだけ練り込まれた作品が期待できそうだ。また監
督は、ニューライン社の創始者で1990年に“Book of Love”
などの作品も監督しているロバート・シャイが担当。ティモ
シー・ハットン、マイクル・クラーク・ダンカンらの配役も
発表されていて、製作状況は撮影中となっている。
 なお現在、原作の翻訳本は手に入り難い状態のようだが、
映画の公開の際にはぜひとも再刊を期待したいものだ。
 因に、小説の原題は、ルイス・キャロル作の『鏡の国のア
リス』に登場する「ジャバウォックの詩」の一節に在るもの
で、その翻訳は「弱ぼらしきはボロゴーブ」となるようだ。
また、この「ジャバウォックの詩」は、テリー・ギリアム監

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06月01日(木)
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