ID:47635
On the Production
by 井口健二
[460314hit]
■ポセイドン、ハイジ、僕の世界の中心は君だ、バタリアン4、ウルトラヴァイオレット、王と鳥、サイレントヒル
まあ、そういう見方がされれば、製作者は期待通りというと
ころだろう。
『バタリアン4』
“Return of the Living Dead: Necropolis”
1985年に鬼才ダン・オバノンの監督で第1作が映画化された
ゾンビ・パロディのシリーズ第4作。と言っても前作からは
13年振りのシリーズ再開だ。
物語は、オリジナルを踏襲して死者を甦らせる化学物質トラ
イオキシン5を巡って、一度は地上から完全廃棄されたはず
の化学物質が、何故かチェルノブイリに隠匿されており、そ
れを廃棄にも協力した化学会社の研究者が密かに回収すると
ころから始まる。
そして、お決まりの実験中の手違いでそれが外部に漏れ出し
て…というもの。因にこの科学者を、『E.T.』などのピー
ター・コヨーテが演じている。
第1作の公開当時は、「オバタリアン」などという流行語も
生み出し、個人的にも、ちょうど引っ越したばかりの集合住
宅で、半地下の部屋に後から入居した一家が窓に目隠し用に
シーツを張っていたのを、子供たちが「バタリアンの家だ」
を囃していた記憶もある。それほどまでに、社会現象と言え
るほどのブームになっていたものだ。
それに第1作は、パロディも冴えており、中でも具合の悪く
なった主人公が体温を計ると10度前後、それはその時の室温
で、それを見た別の奴が、「そんな体温で生きているはずが
無い」と発言する辺りは爆笑ものだった。
それに比べると今回は、パロディはかなり薄められ、代って
主人公を若者のグループとすることで、これも最近ブームの
ティーズホラー的な描き方になっている。それに、化学会社
に戦いを挑むという辺りは『バイオハザード』も連想させる
ものだ。
という、いろいろな要素がごった交ぜの作品。後半はゾンビ
の大群相手にマシンガンを撃ちまくってバッタバッタという
辺りはゲーム感覚とも言えそうで、オリジナルを知らない若
い人にはそれも良いかも知れないというところだ。
なお映画の巻頭は、チェルノブイリに現地ロケされていると
いうことで、ロシア訛りの英語やロシア語も飛び交うなど、
それなりにグローバルな感じの作品にもなっていた。また、
本作は2本撮りで製作されており、『バタリアン5』も近日
公開予定だそうだ。
それにしても、今回のゾンビが簡単に倒れるのは、長年放射
能に曝されて化学物質の毒性が弱まったのかな?
『ウルトラヴァイオレット』“Ultraviolet”
『バイオハザード』のミラ・ジョヴォヴィッチが再び挑む近
未来アクション。
舞台は近未来の上海。その時代、人類は人工のウィルスによ
り超人類“ファージ”を生み出す。それは感染者の身体的、
頭脳的能力を最大限に引き出すというものだったが、同時に
感染後は12年しか生きられない死のウィルスでもあった。
しかも治療法の発見できないウィルスに対し、政府は感染者
の隔離と抹殺を計画。身体・頭脳共に勝る相手との壮絶な戦
いの末、その計画は成就し掛っていたが、独裁的な政府は、
さらにファージ撲滅のための最終兵器を開発していた。
そして主人公は、ファージの生き残りの一人として、その最
終兵器の奪取を試みるが…
何しろ、身体的、頭脳的能力を最大限に引き出した主人公と
いうことで、そのアクションの華麗で凄まじいこと。しかも
これを、香港映画のスタッフがバックに入って映像化してい
るから、本当に見事に描かれている。
飛んだり跳ねたり、ビルの壁面をバイクで突っ走ったり、も
ちろん「あり得ネー」という感じのアクションの連発だが、
それがこの映画の売り物だ。
脚本監督は、『リクルート』などのカート・ウィマー。物語
自体はかなり緻密に作られているし、上映時間1時間27分は
まさに凝縮しているという感じで、次から次と登場するアク
ションには息つく暇もない感じだった。
『マトリックス』『イーオン・フラックス』の先にあって、
CGゲーム感覚映画の一つの到達点とも言える作品だろう。
なお本作の撮影には、ソニーが映画用に開発した24PのHD
[5]続きを読む
05月30日(火)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ
[4]エンピツに戻る