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On the Production
by 井口健二
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■第111回
はライオンズゲートの配給契約も発表されているものだ。
 この作品は、ロシア生まれのアメリカの女流作家エイン・
ランドが1957年に発表した近未来小説の映画化。物語は社会
主義に屈伏したアメリカが疲弊して行く姿を描いており、か
なり強い政治思想の盛り込まれた作品と言われている。ただ
し、小説そのものは鮮やかにドラマティックで、政治思想を
受け入れない人にも評価は高いそうだ。
 そして今回の計画は、ボールドウィン夫妻が数年前からニ
ューヨークの企業家などを巻き込んで準備を進めてきたもの
で、その間には、クリント・イーストウッドやロバート・レ
ッドフォード、フェイ・ダナウェイらが参加していたことも
あったとされている。
 その計画がいよいよ実現に近づいている訳だが、この計画
でジョリーは以前から主人公となる企業家の孫娘ダグニー・
ターガートの役を狙っており、一方、ピットも原作の愛読者
で、話があれば相手役のジョン・ガルト役で出演の意向があ
るとのことだ。因にランドの原作からは、“Fountainhead”
(摩天楼)という作品が、1949年にゲイリー・クーパー主演
で映画化されており、この作品は現在オリヴァ・ストーン監
督でリメイクが計画されている。そしてピットはそのリメイ
クの主演にも予定されているもので、従ってその関係で今回
の原作にも接触があったようだ。
 なお原作は1100ページの大作、製作者は元々はミニシリー
ズ化を狙っていたようだが、映画化でも2部作を希望してお
り、その意向に沿って『コンタクト』などのジェームズ・V
・ハートが脚色、現在は最終的な撮影台本に向けてそのリラ
イトが行われているようだ。結末が政治的にかなり過激とい
う話もあるようだが、ジョリー、ピットの共演で華麗なドラ
マを期待したいものだ。
        *         *
 昨年“Chicken Little”の3D上映を成功させたディズニ
ーから、今年10月20日にも3D作品を公開することが発表さ
れた。
 その作品は“The Nightmare Before Christmas”。1993年
にティム・バートン企画、ヘンリー・セレック監督で製作公
開され、一昨年にも再公開が行われた人形アニメーションの
名作を、今度は3D化して再公開するというものだ。
 昨年の3D上映では、当初2Dで製作された作品を、完成
後に3D化したとされているが、元々CGアニメーションで
作られた作品では、映像の3D化はそれなりに出来そうな感
じはする。ところが今回は、2Dで撮影されたフィルムから
3D化を行う計画で、これにはいろいろ難しい問題もありそ
うだ。しかし、昨年4月15日付第85回でも報告したように、
すでに“Star Wars”や“Lord of the Rings”の一部で3D
化のテストも行われており、技術的な評価は完了している。
 またオリジナルを監督したセレックは、「スタジオを見学
に来た誰もが撮影に使われたミニチュアセットの精巧さに目
を見張るが、従来の2Dの映像ではその素晴らしさが半減し
ていた。3D化によってその魔法が甦ると良い」と語って、
3D化への期待を表明しているものだ。
 一方、3D作品の上映館に関しては、昨年の公開は残念な
がら日本では2館でしか実施できなかったものだが、すでに
上映設備のデジタル化が進んでいるアメリカの映画館では、
かなりのスクリーンで3D上映が可能ということで、今回の
上映で昨年以上に3D化が進むことにもなりそうだ。昨年の
3D上映については、昨年12月14日付の映画紹介の中でも報
告しているが、僕自身はかなり高く評価をしているもので、
今回の上映にも大いに期待したい。
        *         *
 今回は、製作ニュースの最初に“I Am Legend”リメイク
の話題を報告したし、上記の3D化もリメイクに近い話題だ
が、他にもリメイクの話題がいろいろ届いているので、続け
て紹介しておこう。
 1981年の公開で人形アニメーター=レイ・ハリーハウゼン
の最後の作品と言われる“Clash of the Titans”(タイタ

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05月15日(月)
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