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On the Production
by 井口健二
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■母たちの村、アンジェラ、バイバイママ、夢駆ける馬ドリーマー、トランスポーター2、ママが泣いた日、カサノバ
は何となく新人監督っぽくて微笑ましかった。
また、映画に登場する2人の子役の中では、多分スコット・
ケイの方が注目されるのだろうが、僕にはソジー・ベイコン
の伸び伸びとした演技も好ましく感じられたもので、これは
父親の演出の賜物と言えそうだ。
『夢駆ける馬ドリーマー』
“Dreamer: Inspired by True Story”
カート・ラッセルとダコタ・ファニング、それにクリス・ク
リストファーソンやエリザベス・シューの共演で、レース中
に骨折した牝の競争馬を巡る物語。
原題には実話にインスパイされたとあり、実話そのものの映
画化ではないが、これに近い話はあったそうだ。また、実在
の馬の名前も次々に登場し、競馬ファンには堪らない作品の
ようだ。しかも、クラシック競馬の舞台裏などの様子もいろ
いろと描かれている。
ラッセルが扮する父親は、競馬馬の調教ではその名を知られ
た男。先代は競争馬の優秀なブリーダーだったが、育てた馬
を手放すことを嫌った彼は牧場を閉め、他人の牧場に通って
馬の体調などの管理に当っている。
しかしある日、管理していた牝馬が体調不良なのにオーナー
の意向で出場させ、レース中の事故で骨折させてしまう。そ
してオーナーから屠殺を命じられた彼は、哀願する娘の目を
見て、未払いの給料の代りに牝馬を引き取り、厩務員と共に
自宅に連れ帰る。
実はその時の彼の考えは、牝馬に種付けをして子供を取るこ
と。そして、彼の人脈で優秀な種馬の提供も決まるが、その
種付けに掛かる費用は莫大なものだった。
正直に言って、主人公の行動に思慮深さが無くて、はらはら
し通しだった。でも、夢見る人というのはこんなものかも知
れない。そんな夢に浸っていたいという作品なのだろう。そ
んな夢見る父親と娘を、ラッセルとファニングが心地よく演
じている。
そろそろ幼女から少女になり始めたファニングの演技はいつ
もながら見事だし、さらに何度も登場する馬の疾走シーンや
レースシーンの撮影の見事さは、それだけで見る価値がある
と言えそうなものだ。またレース中の事故のシーンの迫力も
見事なものだった。
ただ、字幕にはちょっと注文があって、多分原語ではraceと
gameが区別して使われているはずなのだが、字幕ではそれが
混乱している。gameがレースと訳されていた部分があったよ
うにも感じた。
それから、途中の馬の権利の持ち分を決めるシーンで、「一
人に51%、もう一人に39%、お前たち(2人)に10%ずつ」
という字幕があったが、これでは合計が110%になってしま
う。原語の台詞は聞き取れなかったので原語から間違ってい
る可能性もあるが、ちょっと何とかしてもらいたかったとこ
ろだ。
『トランスポーター2』“Transporter II”
2002年公開のジェイスン・ステイサム主演アクション作品の
続編。前作と同様リュック・ベッソンが脚本製作を務める。
前作では、フランスを舞台に、元特殊部隊兵士のプロの運び
屋が巻き込まれたトラブルを描いたが、今回の主人公は運び
屋を引退したのか、アメリカのフロリダ州マイアミで暮らし
ており、資産家の一人息子の学校の送り迎えの運転手をして
いる。
この設定は、2004年の『マイ・ボディガード』を思い出させ
るが、本作はあくまで送迎だけでボディガードの役目ではな
い。しかし送迎中にことが起きると、彼は品物を無事送り届
けるために最大限の仕事を始めることになる。
そして本作では、まあ殆どありえないカーアクションと、生
身の格闘技のアクションを見事にバランスさせて、裏に潜む
大きな陰謀も暴き出す。
勧善懲悪を見事に描いた作品で、悪人は悪人らしく、善人の
協力者はちゃんとその役目を果たしてくれる。プレス資料で
は、最初はもう少し捻った展開が用意されていたことも窺え
るが、完成した作品は見事に単純ですかっとするものだ。
監督のルイ・ティリエと、アクション監督のコーリー・ユン
も前作そのままに再結集し、特にステイサムに振り付けられ
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03月30日(木)
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