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On the Production
by 井口健二
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■Vフォー・ヴェンデッタ、ファイヤーウォール、SPIRIT、ブラッドレイン、ククーシュカ、南極物語
この異種格闘技戦の日本代表・田中安野役には中村獅童が扮
し、映画のクライマックスを盛り上げている。
監督は、2003年の『フレディvsジェイソン』などのロニー・
ユー。元々は中国出身だが、最近はハリウッドで活躍してい
る監督の久々の中国映画ということだ。
その監督のコメントの中で、マーシャルアートをカットの切
り替えや編集テクニックではなく、ロングで取ることが出来
るキャストという言葉があった。確かに、この作品で演じら
れている闘いのシーンは、それぞれの演技者がほぼ全身を見
せて闘っているものだ。
もちろんそこには、ワイアーワークなども使用されてはいる
が、そのワイアーワークにしても、出演者自身の実際の吊り
によって演じられているもので、CGIなどによる誤魔化し
もなく、見ていてすっきりするものだった。
上映時間は1時間43分。多少のドラマはあるが、全編のほと
んどのシーンが格闘技という凄まじい構成。しかもどの闘い
も変化に富んだ見応えのあるものばかりで、格闘技映画のフ
ァンには堪能できる作品と言えるものだろう。
その分、女性客の反応が気になるところだが、そこはリーと
獅童の人気でカヴァーして欲しいという感じになりそうだ。
なお、エンディングのクレジットではリーと獅童の2人が主
演とされ、それぞれ単独で表記されていたものだ。

『ブラッドレイン』“Bloodrayne”
ドイツ出身でハリウッドに渡ったウーヴェ・ボル監督による
2005年作品。
この作品の製作に関しては、2004年8月15日付の第69回でも
紹介しているが、先に製作された『ハウス・オブ・ザ・デッ
ド』などの成功でヴィデオゲームの映画化に関して定評を得
たボル監督が、今後も継続する同様の作品群の中で手掛けた
作品と言えるものだ。
物語の舞台は、18世紀のトランシルヴァニア。主人公のレイ
ンは、吸血鬼の父親が人間の母親を犯したことによって生ま
れたが、その存在は吸血鬼を滅ぼすものとされる。そして、
その誕生を知った吸血鬼が襲ったときには母親の機転で救わ
れるが、母親は目の前で惨殺されてしまう。
こうして命を存え成長したレインだったが、ある日、吸血鬼
の血が目覚め、周囲の人々を襲ったことから、吸血鬼と闘う
「業火の会」のハンターたちからも追われることになる。
一方、吸血鬼の魔手は「業火の会」の中枢を襲い、最後の闘
いの日が迫っていた。こうして父と娘の対決となるが、その
闘いの鍵として、吸血鬼の力を究極に高める3つの遺物の存
在があった。
この3つの遺物という辺りは、如何にもゲームという感じの
ものだが、オリジナルのゲームは第2次大戦のナチスドイツ
が舞台となっていたようだ。しかし、ドイツ出身の監督の意
向かどうかは知らないが、映画化では舞台が変えられたもの
だ。とは言え、全体にクラシカルな雰囲気は、往年のホラー
映画の再来という感じにも仕上がっている。
実際、ハリウッドでも同様の舞台設定による『ヴァン・ヘル
シンク』は作られているが、VFX満載の作品とはまたちょ
っと違った味がこの作品には漂っていた。それは換言すると
安っぽさとも言えるかも知れないが、そんな雰囲気はホラー
には似合っているものだ。
出演は、レイン役に『T3』のクリスティーナ・ロケン、父
親の吸血鬼役に『サウンド・オブ・サンダー』にも出ていた
アカデミー賞スターのベン・キングズレー、そして吸血鬼ハ
ンター役に『バイオハザード』のミシェル・ロドリゲス。
他に、『処女の生血』のウド・キアー、『フィラデルフィア
・エクスペリメント』のマイケル・パレなどホラーSF映画
ファンに懐かしい名前も並んでいる。また、預言者役でジェ
ラルディン・チャップリンも出演していた。
この一見豪華なキャスティングは、ボル監督の作品では今後
も継続されるようで、その点でも注目して行きたいものだ。

『ククーシュカ』“Kukushka”
第2次大戦末期のソ連−フィンランド戦線となったラップラ
ンドを舞台に、フィンランド人青年と、ロシア人の兵士と、

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02月28日(火)
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