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On the Production
by 井口健二
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■ナルニア国物語・第1章ライオンと魔女、ニュー・ワールド、ウォーターズ、イーオン・フラックス
よって救われる。さらに科学者は生き残った500万人の人々
を外界から隔離された都市に集め、科学者の管理による理想
の社会を作り上げた。
そして時が流れた西暦2415年。人々は理想郷の中で安全に暮
らしていたはずだったが…
世襲で引き継がれる科学者たちの政策はやがて圧制となり、
それに対抗する反乱組織が結成される。そして組織は状況を
打破するため、ついに支配者である第8代グッドチャイルド
の暗殺命令を、過去を持たない女暗殺者イーオン・フラック
スに発令した。
オリジナルのシリーズでは、グッドチャイルドは謎の黒幕だ
ったようだが、映画化はそのグッドチャイルドとの最後の対
決を描くものだ。従って、この作品はシリーズの完結編とい
う側面も持つようだ。
外界から隔離された世界というと、昨年は『アイランド』が
公開されたし、古いものでは1976年の『2300年未来への旅』
(Logan's Run)なんて作品も思い浮かぶが、まあ定番とい
う感じのものだ。
その中で今回の作品は、圧制者を狙う暗殺者という設定が目
新しく、またその暗殺のテクニックには、原作のアニメーシ
ョンではかなりアクロバティックなアクションも描かれたと
されていて、それなりの期待感も持った。
その点でいうと、セロンのアクションはかなり頑張っている
し、元バレリーナの身体能力はさすがと思わせる。しかし、
実は撮影中に負傷したという情報がどのように影響したのか
が気になるところで、実際、映画の上映時間93分はこの手の
作品では短いものだった。
また、そんな先入観を持って見ているせいもあるかも知れな
いが、映画の全体は何となく舌足らずで、実は科学者の圧制
の理由などはそれなりに面白いテーマなのだが、その辺りが
描き切れていないような感じもした。
とは言え、映画はセロンの容姿と美貌がアクションとファッ
ションで前面に押し出されたもので、観客はそれを楽しめれ
ばいいと言うものだろう。ただしそれを純粋に楽しむには、
僕にはオスカー女優の肩書きがちょっと邪魔なようにも感じ
られた。
同じような状況では、ハリー・べリーがオスカーの受賞後に
『X−メン2』に出ているが、ベリーの場合とセロンの場合
とでは、その受賞作の重みが違いすぎるようにも感じる。そ
れほどまでにセロンは『モンスター』になり切っていたし、
それが賞に値したものだ。
従ってその重みを吹っ切るには、この程度の作品では物足り
なく感じられてしまうのかも知れない。逆にもっと軽すぎる
くらいに軽い作品のほうが吹っ切れたのではないかという感
じもするが…意欲が感じられるだけに、ちょっと残念な感じ
もした。でも、ファンならこれを支援するくらいの気持ちは
持ちたいものだ。
製作は、元ジェームズ・キャメロン夫人のゲイル・アン・ハ
ード、監督カリン・クサマ、共演はフランシス・マクドーマ
ンドとソフィー・オコネド。2004年6月15日付第65回の製作
ニュースでは女だらけの作品と紹介したが、出来ればこのメ
ムバーで再度アクション映画に挑戦してもらいたいとも思っ
た。

02月14日(火)
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