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On the Production
by 井口健二
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■SPL、プリティ・ヘレン、ヒストリー・オブ・バイオレンス、沈黙の脱獄、シムソンズ、トム・ヤム・クン!、スカイ・ハイ
を填めた奴を見つけ出し、自らの無実を証明するために、刑
務所を脱獄することに…これに警察内の汚職や、いろいろな
要素が絡まって物語が展開する。
と言っても、まあセガールアクションだし、それほど深い話
がある訳でもなく、気楽に楽しめばいい作品だろう。紛失し
た2000万ドルの行方など、多少辻褄の合わないところもある
が、そんなこともアクションが決まれば問題はない。
脱獄アクションというと、ちょっと前にジャン=クロード・
ヴァンダム主演でも1本あったように思うが、アクション俳
優としてはやっておきたい題材なのだろうか。といっても本
作では多少あっけない作戦ではあるが。
僕自身は、どちらかというと前作の『沈黙の追撃』の方が好
きだが、物語としては本作の方が現実味はある。元々セガー
ルは現実の武術家である訳だから、物語は現実に近い方が似
合っているし、その意味では本作の方を好む人も多いかも知
れない。
ただ本作でも、主人公の恋人に予知能力を想像させる部分が
あるなど、そういう要素を入れてくるのは、果たしてセガー
ルの好みなのだろうか。そうだとするなら、僕としてはそう
いう面をもう少し深めた作品も見てみたいものだ。
それと、セガールアクションは、最後は格闘技で決めて欲し
い。マンネリになるのを嫌ったのかも知れないが、銃撃戦や
爆破シーンは途中に挟み込まれるのは構わないが、最後はや
はり…。前作でもあったような真剣勝負のシーンが最後に欲
しかった気がした。

『シムソンズ』
2002年のソルトレーク冬季オリンピックに日本代表として出
場した女子カーリングチーム「シムソンズ」をモデルにした
ガールズムーヴィ。
舞台は北海道・登呂町。その町の高校2年生和子のカーリン
グ経験は授業でやった程度にもの。ところがある日、憧れの
君である町出身のカーリング選手の凱旋大会を見に行き、そ
こで思いがけずもその本人からカーリングチームを作ること
を勧められてしまう。
これに有頂天になった和子は、言われるままに友達2人を誘
ってチームを結成。そこに、経験者の4人目の選手と本業は
漁師のコーチが現れて練習が開始される。しかし初参加の大
会は0封コールド負けと惨敗。そして仲間割れが始まって…
とまあ、スポーツものの定番を絵に書いたような物語が展開
する作品だ。勿論これはモデルの「シムソンズ」の実話では
なくフィクションで、どうせフィクションならもう少しは捻
って欲しいとも思うものだが…正直なところは今回はそれが
あまり気にならなかった。
と言うのも僕は、カーリングという競技の名前は知っていた
がルールもよく判らず、実体はほとんど知らなかった。これ
は日本人の多くが同じだと思うものだが、その日本人に対し
てこの作品では、実にうまくルールから見所までを解説して
くれるものだ。
実際に、今年のトリノ冬季オリンピックにも日本代表は参加
しているようだが、ルールを知らなくては応援のしようもな
いと思っていた。それがこの映画のお陰で判るようになって
しまったという訳だ。
これで実際に応援するかどうかは別としても、聞きかじりの
ルールで変に思っていたところも納得できたし、氷上のチェ
スと言われるほど緻密な競技であることもよく理解できた。
そういう知識が増えるだけでもうれしいと思うところだ。
製作総指揮は、格闘技の「PRIDE」などを運営している
榊原信行。実はこの人の映画製作は2作目だが、僕は前作を
あまり気に入らずホームページでも紹介しなかった。しかし
今回は啓蒙という意味で理解もしたし、その意味では気に入
った作品と言えるものだ。
脚本と監督はそれぞれテレビ出身者で、それなりにそつなく
作っている。また主演の加藤ローサは、今までテレビのヴァ
ラエティ番組でしか見たことがなかったが、思いのほか良い
と言うか、このままコメディエンヌとして育って欲しいとい
う感じも持った。
公開は2月18日で、オリンピック絡みではちょうど良いタイ
ミングの作品と言えそうだ。


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02月13日(月)
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