ID:47635
On the Production
by 井口健二
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■イエスタデイ・ワンスモア、ミリオンズ、コープスブライド、ビッグ・スィンドル、旅するジーンズと・・・、ビタースイート、探偵事務所5
とは言え、ちょっと根暗でカラフルなティム・バートンワー
ルド満開のこの作品を、じっくりと楽しんで行っていただき
たい。                        
                           
『ビッグ・スィンドル』(韓国映画)          
現代の韓国を舞台に詐欺師たちが繰り広げる犯罪ドラマ。 
銀行を舞台にした大掛かりな詐欺事件が発生する。しかしそ
の完遂直前に事件は発覚し、追跡を受けた犯人の車の1台は
事故で炎上。奪われた50億ウォンの現金と、キム先生と呼ば
れる主犯格の男の行方は判らなくなる。         
警察は、事故で死亡した犯人の兄に事情聴取をするが、その
兄は古書店を営みながら作家を続けているという物静かな男
で、事情はほとんど知っていそうにない。        
そしてもう一人、警察が注目するのはキム先生の愛人だった
が、彼女も何もしゃべることはない。ところがこの女もした
たかで、兄に死亡保険金が入ると知るや、その古書店に入り
込み、一緒に暮らし始めてしまう。           
一方、警察には逃亡に失敗した犯人の一人が重症で捕えられ
ており、その口から徐々に犯行の全貌が明かされて行くが…
プロローグのカーチェイスに始まって、そこから時間を遡っ
て犯罪の全貌が明らかにされて行く形式の作品。それに並行
して犯罪捜査の様子や取られた大金の行方が織り込まれ、こ
れが実に巧妙に描かれていて面白い作品だった。     
詐欺師ものと言うのは一般的には人死にや血糊の量が少なく
て、それなりに安心して見ていられるものだが、最近はそう
も言えなくなってきたようだ。と言っても血みどろべたべた
というほどではないが、本作ではプロローグからかなり迫力
の映像が描かれる。                  
でも本筋は、定番通りの虚々実々の頭脳戦という感じのもの
だ。と言っても、実は最初の銀行の事件の手口が僕はよく判
らなかったのだが、まあ取り敢えず50億ウォンが奪われたと
いうことで、そこは余り気にしなくても全体の筋には問題な
いものだった。                    
ただし、それ以外の話の筋もだんだん入り組んでくるのは、
詐欺師もののお定まりの展開というところだが、この部分は
実に判りやすく説明されていて、最後はお見事という感じの
納まり方をする。さすがに韓国の各映画賞で脚本賞を総嘗め
にした作品というところだ。              
                           
『旅するジーンズと16歳の夏』            
       “The Sisterhood of the Traveling Pants”
アン・ブラッシェアーズ原作でNYタイムズのリストに1年
以上載り続けたというベストセラー小説の映画化。    
母親たちが同じマタニティスクールに通っていたことから、
生まれたときからずっと一緒に過ごしてきた4人の少女が、
16歳の夏休みを初めてばらばらに過ごすことになる。そこで
4人は、古着屋で見つけた1本の不思議なジーンズを1週間
ずつ廻して旅を楽しむことにする。           
4人はそれまでにも、親の離婚や母親の自殺など、いろいろ
な辛い思い出を姉妹のように共有して育ってきた。その4人
が、ギリシャやメキシコなどそれぞれの向かった土地でいろ
いろな期待に胸を膨らまし、ジーンズにはそれを叶える魔法
の力があると考えていたのだが…            
4人の少女の一夏の経験と挫折、それによる成長を見事に描
いた作品。さらにそこには友情という掛け替えのない素晴ら
しいものが後ろ楯として控えている。こんな友情を持てるこ
との素晴らしさも、この作品は訴えているのだろう。   
主演の4人を演じるのは、アンバー・タンブリン、アメリカ
・フェレーラ、ブレイク・ライヴリー、アレクシス・ブレー
デル。この内、ブレーデルは『シン・シティ』にも出演して

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09月30日(金)
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