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On the Production
by 井口健二
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■第94回
のだ。そしてこの作品では、過激な内容だけでなく、カイ監
督と製作会社のニューラインとの間で最終編集権を巡っての
トラブルも発生し、一時は監督が自分の名前をクレジットか
ら外すことを要求したり、新聞に意見広告を出したり、さら
には宗教家をともなって本社に抗議行動を起こすなど、監督
の取った態度も問題にされた。
しかしカイ監督は、その後に「あの頃の自分は、感情の面
でまともではなかった」と反省の弁を述べたということで、
過激な映画の内容が監督の心境にもかなりの影響を与えてい
たということのようだ。その点で言えば、今回の作品は内容
的にもそれほど影響が出るようなものでもなさそうで、取り
敢えずは順調に進みそうな感じのものだ。製作時期や、出演
者などの情報もまだ出てきてはいないが、前作の強烈な印象
を覚えているものとしては、今回の作品にも期待を持ってし
まうところだ。
なおカイ監督は、先にカナダのメディア8・エンターテイ
ンメント社との間で“Reaper”という作品の契約も結んでい
るようだ。
* *
1999年の東京国際映画祭・コンペティション部門に出品さ
れた“Twin Falls Idaho”のマーク&マイクル・ポーリッシ
ュ兄弟の新作に、ビリー・ボブ・ソーントンの主演が発表さ
れ、ワーナーの子会社のワーナー・インディペンデンス(W
I)で製作されることになった。
この作品は“Astronaut Farmer”と題されたもので、家庭
の事情でNASAを退職して農家を継いだ主人公が、宇宙へ
の夢を捨て切れず、ついに自前のロケットを組み立てるが…
政府がこれを止めに掛かるというもの。さらにこれにご近所
さんやメディアなども絡むというもので、ソーントンらしい
反骨精神に満ちた作品になりそうだ。
日本でも先に、吉本の芸人の出演で個人で宇宙ロケットを
打ち上げる作品が作られているが、他にもグアム島を舞台に
した同様の“Guam Gose to the Moon”という作品も以前か
ら計画されているなど、NASAのスペースシャトルがトラ
ブル続きの中で、この種の作品がちょっと注目を集めている
ようだ。なお、新作は“Twin…”と同様、兄弟で書き上げた
脚本からマイクルが監督。撮影は9月初旬にニューメキシコ
で開始の予定だが、今回報告の時点では主演女優を選考中と
なっていた。
また、今回の計画では、先にソーントンに脚本が提示され
て、彼の出演が決まった段階でそれをセットにしてWIへの
売り込みが行われたようだ。つまりこの作品は、ソーントン
の信用で実現した企画ということになる。因にポーリッシュ
兄弟の作品では、2001年に“Jackpot”という作品が、ダリ
ル・ハナの出演で製作されているが、日本では未公開に終っ
ているものだ。
一方、ソーントンの次回作では、ジョン・キューザックの
共演、ハロルド・ライミス監督による“Ice Harvest”とい
う作品が年末に全米公開が予定されている。この作品はスコ
ット・フィリップスの同名の小説をリチャード・ロッソが脚
色したもので、クリスマスイヴの日に、ソーントン扮するス
トリップクラブのオーナーと、キューザック扮する無能な弁
護士が犯罪組織から1200万ドル横領を企むという犯罪もの。
ソーントンは今年もクリスマスの犯罪を企むようだ。
その他、ソーントンの計画では、ウェインスタインCo.傘
下のディメンションが進めている1960年製作のイギリス映画
“School for Scoundrels”のリメイク計画にも主演が発表
されている。
* *
1992年にディズニーから発表された長編アニメーションの
“Aladdin”は、ロビン・ウィリアムスによる声のパフォー
マンスなどの人気で、アメリカ国内だけで2億1700万ドル、
全世界では5億400万ドルの興行収入と、テレビシリーズ化
やダイレクトヴィデオなどで大成功を納めているが、そのデ
ィズニーから新たに現代版の実写映画の計画が発表された。
この計画は、1999年にブレンダン・フレーザー主演で映画
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09月01日(木)
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