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On the Production
by 井口健二
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■キャプテン・ウルフ、真夜中のピアニスト、蝋人形の館、800発の銃弾、ヘイフラワーとキルトシュー、ふたりの5つの分かれ路
ークキャッスル。ホラー専門のブランドだが、手を替え品を
替え、まだまだ種は尽きそうにない。          
                           
『800発の銃弾』“800 Balas”            
『どつかれてアンダルシア(仮)』などのアレックス・デ・ラ
・イグレシア監督による2002年作品。          
かつて、400本以上のマカロニ・ウェスタンが撮影されたと
いうスペイン南部アルメリア地方。その“西部劇の聖地”を
舞台に男のロマンを歌い上げた作品。          
主人公はかつてスタントマンとして活躍し、クリント・イー
ストウッドやジョージ・C・スコットのスタントダブルを務
めたことが自慢の老優。今は名残りのウェスタン村でスタン
ト・ショウの座長を務めている。しかし観光客も減り、村の
先行きは不透明だ。                  
そんな彼には一つの暗い過去があり、そのために家族とも別
れ、一人で老境を迎えようとしている。ところがその彼の許
に、孫と名乗る少年が現れる。そしてその孫の登場が、飛ん
でもない事態の引き金となってしまう。         
ウェスタン村というのは日本にもいろいろあるが、どこも西
部劇ごっこが好きでたまらない良い年の大人たちが楽しみで
やっているような雰囲気がある。この主人公たちもそれに似
たところがあって、生活は苦しくてもそれが生き甲斐という
感じが好ましい。                   
でも、現実はそんなことばかりは言ってられず、不況やその
他諸々の世間の波が彼らにも襲いかかってくる。そうなった
ときに一体どうすればいいのか。この主人公の行動は余りに
過激だけれど、やれるものなら…これが男のロマンというも
のだろう。もちろん蛮勇に過ぎないことは明らかだが。  
なお撮影地は、マカロニ・ウェスタンの他にも、『アラビア
のロレンス』『ドクトル・ジバゴ』『パットン大戦車軍団』
『インディ・ジョーンズ/最後の聖戦』なども撮影された場
所だそうで、そう言えば見たような風景が出てくるのも楽し
かった。                       
主演は、実際に『さすらいの一匹狼』などのマカロニ・ウェ
スタンで活躍していた1936年生まれのサンチョ・グラシア。
因に、彼はハリウッド西部劇の『100挺のライフル』にも
出演していて、劇中の台詞にあるラクエル・ウェルチとも共
演しているそうだ。                  
                           
『ヘイフラワーとキルトシュー』            
             “Heinahattu ja Vilttitpssu”
フィンランドで2002年に公開され、同国の歴代興行成績第1
位を記録したというカイサ・ラスティモ監督作品。    
元々は童話の原作があるようだが、物語の主人公は、小学校
に上がる直前の姉と幼い妹の姉妹。その姉ヘイフラワーには
一つ心配事がある。それは、自分が学校に行ったら妹キルト
シューの面倒を誰が見るのかということ。        
実は、父親はジャガイモ研究を続けている研究者で、家には
居るのだが何時も研究に没頭し、家族のことなど顧みない。
一方、母親は大学出の今は専業主婦だが、料理も洗濯も苦手
で、大学出の女性が家事をするのはおかしいと主張、外での
仕事を探している。                  
そしてヘイフラワーは、何時も良い子で妹の面倒を見、両親
もそんなヘイフラワーに妹を任せきり。だからヘイフラワー
は、自分が学校に行ったら、キルトシューが独りぼっちにな
ってしまうのではないかと心配なのだ。         
しかし、キルトシューはそんな姉の心配などお構いなしに、
いろいろな我儘や主張をして姉を困らせる。そして両親は、
何時でもヘイフラワーに我慢するように言い続けるのだが…
ついにヘイフラワーが切れる日がやってくる。      

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07月31日(日)
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