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On the Production
by 井口健二
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■第90回
ている中で、古い2個のトランクに詰められた特注の皮表紙
で装丁された16冊の本を発見。それを開くと、中には映画化
を目指した詳細なストーリーボードやノートがぎっしりと納
められていたということだ。
作品の内容は、主人公を含む窃盗団の一味がメキシコに赴
き、そこで数百年に渡ってユカタン半島に隠されてきた財宝
を発見するというもの。そこには、生前マックィーンが興味
を持っていたという征服者に支配されたメキシコの歴史や文
化が織り込まれる一方、マックィーンの代表作『大脱走』を
髣髴とさせるオートバイによるチェイスなどのアクションも
満載で、もしこの作品が『ジョーズ』よりも前に公開されて
いたら、アクション映画の歴史が変わっていたかも知れない
と思えるほどの完成度の高いものだということだ。
そしてワーナーでは、この作品の製作者に『ハリー・ポッ
ター』シリーズのデイヴィッド・ヘイマンを指名し、さらに
脚本化を、テレビシリーズ“Prison Break”のクリエーター
で製作も手掛けるポール・ショイリングに依頼。ショイリン
グは、現代にマッチするよう多少の手直しはするものの、マ
ックィーンの意志を最大限に尊重した脚本を完成させるとし
て、すでに自ら現地に赴いて海底洞窟に潜水するなどの実地
調査を行っているそうだ。また、チャドとランス・スローン
も製作総指揮として参加することになっている。
ただし今回の計画は、まだ監督も出演者も製作時期も未定
のものだが、最近再公開された『大脱走』やパニック映画の
最高峰とも言える『タワリング・インフェルノ』などを見て
も、マックィーンのアクションは当時の水準からは頭抜けて
洗練されたものだった。そのマックィーンが夢見た作品の映
画化には、一刻も早く出会いたいものだ。
* *
“The Polar Express”が大成功を納めたCGアニメーシ
ョンの新技術パフォーマンス・キャプチャーの第2弾は、す
でに“Monster House”が2006年夏の公開を目指して製作中
だが、それに続いて、再びロバート・ゼメキスの監督による
“Beowulf”の計画が正式に発表された。
この作品については、今年2月1日付の第80回でも1度紹
介しているが、10世紀にイギリスで完成された長編叙事詩に
基づくもので、物語では主人公が巨大な怪獣と戦う姿なども
描かれている。また脚本は、『もののけ姫』のアメリカ版を
手掛けたニール・ゲイマンと、『パルプ・フィクション』の
ロジャー・アヴェリーが共同で作り上げたものだ。
そして今回はこの出演者に、レイ・ウィンストン、アンソ
ニー・ホプキンス、ブレンダン・グリースン、ロビン・ライ
ト・ペンが発表された。なお新技術では、出演者は声だけで
なく、演技も取り込まれることになっているが、昨年紹介さ
れたトム・ハンクスによるパフォーマンスはかなり愉快なも
のだった。しかし今回の出演者もそれは全員了承済というこ
とで、ホプキンスもその中に含まれる訳だが、彼がセンサー
の付いたボディスーツを着て演技をしている姿を想像すると
かなり面白そうだ。
これはぜひとも撮影風景も見せてもらいたいものだが、同
時にこれだけの顔ぶれが揃って撮影がうまく行けば、この後
に続く俳優への交渉も楽になるもので、今後に製作される作
品への展望も大いに開けそうな感じだ。
なお、出演者のトップに挙がっているウィンストンは、ア
ンソニー・ミンゲラ監督の新作“Breaking and Entering”
や、マーティン・スコセッシ監督による『インファナル・ア
フェア』のアメリカン版リメイク“The Departed”にも出演
しているということだ。
* *
2002年1月15日付の第7回と2004年2月1日付の第56回で
も紹介したPCゲーム“American McGee's Alice”の映画化
の計画が、ようやくユニヴァーサルから発表され、この監督
を“The Texas Chainsaw Massacre”のリメイク版を手掛け
たマーカス・ニスペル。主演を“Scooby-Doo”やアメリカ版
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07月01日(金)
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