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On the Production
by 井口健二
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■シンデレラマン、せかいのおわり、マダガスカル、8月のクリスマス、ハービー 機械じかけのキューピッド、頭文字D
を舞台にリメイクした作品。学校を卒業後も故郷を離れるこ
となく、家業を継いで静かに生きてきた男の、最後の仄かな
恋が描かれる。                    
主人公は、小さな町で写真館を開業している。それは親の仕
事を継いだもので、その父親との2人暮らしは、たまに言い
争いもするが平穏そのものだ。また外で所帯を持っている妹
が世話を焼きに来たり、昔の恋人が訪ねてきてもその生活が
変わることはない。                  
しかしある日、息を切らせた若い女性が店を訪れ、至急の焼
き増しを頼んだときから、彼の生活に変化が訪れる。彼女は
近くの小学校の臨時教員で、夏休みの登校日に生徒に写真を
渡そうとしていたのだが…               
こうして店を訪れた女性は、その後も店に度々やって来ては
話をするようになり、心の交流が続いて行く。そして彼は、
彼女の悩みを聞いてやったり、成長を見つめて行くことにな
るが、彼には、彼女に打ち明けられない秘密があった。  
山崎は、SMAPがカバーした『セロリ』などでも知られる
ミュージシャンだが、1997年に『月とキャベツ』という映画
作品に主演している。その後にはテレビドラマの主演もある
ようだが、本作が8年振りの映画主演だそうだ。     
本作は、その演技力がどうこうと言える役柄ではないが、多
分8年前からは歳も経て役柄も変わってはいるものの、その
歳相応にそつ無く丁寧に演じている感じで、悪い感じはしな
かった。少なくとも下手ではないし、嫌みでもなかった。 
それより注目は、若い女性を演じた関めぐみで、彼女の演技
は先に『恋は五・七・五』でも見ているが、僕としては映画
の内容がちょっと評価できなかった前作でも、彼女の演技は
評価したもので、今回紹介できることを嬉しく思うものだ。
本作では、如何にも現代っ子的キャラクターがよく活かされ
ており、肝心のところで涙が流せなかった演技経験の不足は
否めないものの、体格の良さも従来の日本人の女優にはなか
なかない特徴で、これからも頑張ってもらいたいものだ。 
他に、西田尚美、戸田菜穂、井川比佐志、大倉孝二らが共演
している。                      
                           
『ハービー 機械じかけのキューピッド』        
                “Herbie: Full Loaed”
1969年の“The Love Bug”からTVムーヴィも含めて5作が
製作された自意識を持ったフォルクスワーゲン・ビートルが
活躍するシリーズの第6作。
カーナンバー53のレーシング用ワーゲンが、今回はアメリ
カで大人気のNASCARに挑戦する。         
実は、以前の『ラブ・バッグ』というのは1本も見ていなく
て、今回がハービーとの初遭遇だった。それで僕は、もっと
単純にハービーと人間とが交流するものと想像していたのだ
が、意外と捻りがあって、その辺からのドラマづくりが良く
できている感じがした。                
と言ってもファミリー向けの作品で、アメリカではスラップ
・スティックに分類されているコメディだから、荒唐無稽さ
は基本路線。それにどこまで観客が乗って行けるかが勝負と
いった作品だ。                    
実は試写会の上映後に、2席ほど先に座っていた若い女性が
怒っていて、彼女はハービーの最後に演じる大スタントがレ
ースを馬鹿にしているという意見だった。確かに僕も、少し
やり過ぎかなと感じたもので、NASCARファンなら仕方
のない意見だが…                   
ただし本作の場合は、前半でリンジー・ローハン演じる主人
公のスケート・ボードのテクニックを真似ているという説明
があり、この最後の演技もその延長線のものだ。であれば理
解のできるもので、ただ、その説明をもう一度駄目押しして
欲しかった感じはした。                

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06月30日(木)
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