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On the Production
by 井口健二
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■第89回(後)
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※このページは、キネマ旬報誌で連載中のワールドニュー※
※スを基に、いろいろな情報を追加して掲載しています。※
※キネ旬の記事も併せてお読みください。 ※
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≪昨日の続き≫
続いてはリメイクの話題で、2004年3月1日付の第58回で
紹介した“The Poseidon Adventure”のリメイク計画が本格
的になってきた。
オリジナルは、『ジェニー』などのファンタシー小説や、
『ハリス夫人』シリーズなどのユーモア小説で知られるポー
ル・ギャリコの原作を、『宇宙家族ロビンソン』などの人気
SFテレビシリーズを手掛けてきたアーウィン・アレンの製
作で映画化したもので、巨大な横波を受けて転覆した大型客
船の船内に取り残された乗客が、一縷の望みを賭けて上下逆
さまとなった船内を船底に向かって上って行くというお話。
1972年に公開された映画は、転覆シーンの巨大なアクショ
ン(ボウルルームが逆さまになる)や、上下逆さまとなった
船内の時に幻想的な造形で、その後10年以上も続くパニック
映画(disaster film)ブームの走りとも呼ばれた作品だ。
因にアレンは、この2年後の1974年にパニック映画の頂点と
も言える『タワリング・インフェルノ』を製作する。
この作品のリメイクが、以前からワーナーでウルフガング
・ペーターゼンの製作により計画されていたものだが、この
ほど6月18日からの撮影開始と、キャスティングの第1弾と
してカート・ラッセル、リチャード・ドレイファス、それに
『オペラ座の怪人』のエイミー・ロッサムの出演が正式に発
表された。なお前回の報告では、ペーターゼンは製作のみ担
当するということだったが、今回の情報によると監督も手掛
けることになっているようだ。
脚本は、マーク・プロトセヴィッチとアキヴァ・ゴールズ
マンが担当し、ギャリコの原作と、1972年のオリジナル映画
化をベースに再構築されている。因に、キャスティングの紹
介によると、ラッセルは元消防士で、ロッサム扮する娘と彼
女のボーイフレンドと共に旅行中に災害に襲われる。また、
ドレイファスは、世間から見捨てられたゲイの男という役柄
だそうだ。キャストはさらに追加されることになっている。
前にも書いたように、このオリジナルでは大型客船の転覆
シーンなどでアカデミー視覚効果賞を受賞しているが、ペー
ターゼンは『パーフェクト・ストーム』の成功を踏まえて、
さらに見応えのあるシーンを造り出すとしており、期待が持
てそうだ。
ただし、同じ原作に対してはアメリカNBCテレビでTV
ムーヴィ化も進められており、こちらはスティーヴ・グテン
バーグ、ピーター・ウェラー、ルトガー・ハウアーらの出演
ですでに撮影が完了していて、当然先にテレビ放映されるこ
とになるが、映画館の大画面の迫力で負けないものを作って
もらいたいものだ。
* *
以下は新しい情報で、
メキシコ出身のギレルモ・デル=トロ監督と、アルフォン
ソ・キュアロン監督がチームを組み、彼らの長年の協力者で
製作者のフリーダ・トレスブランコと共に製作会社を設立し
たことが報告された。
この新会社はOMMと名付けられたようだが、2人の監督
が相互の協力の下でスペイン語及び英語での映画製作を行う
もので、さらにメキシコやラテンアメリカ、またヨーロッパ
では特にスペインの若手監督の発掘にも取り組みたいという
ことだ。同様の思想では、すでにリュック・ベッソンがエウ
ロパ Co.を設立しているが、ちょうど良い好敵手が現れたと
いうところだろう。
そしてその新会社の第1作として、デル=トロ監督による
“Pan's Labyrinth”という計画が発表されている。この作
品は、スペイン内戦後の社会を13歳の少女の目を通して描い
たダークファンタシーということで、2002年スティーヴン・
フリアーズ監督の“Dirty Pretty Things”に出演したセル
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06月16日(木)
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