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On the Production
by 井口健二
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■肌の隙間、トラブルINベガス、楳図かずお恐怖劇場、ハッカビーズ、0:34、ヒトラー、逆境ナイン、about love
得できるところがミソで、さすがにホフマンとユペールの演
技力なのか、ラッセルの脚本?それとも演出力?という感じ
の作品だ。もちろんコメディなのだが、笑うと言うより感心
して見てしまった。
なお、反対運動の参加者の女性の役で、『鳥』『マーニー』
などのヒッチコック作品でヒロインを演じたティッピー・ヘ
ドレンが出演していて懐かしかった。

『0:34』“Creep”
終電後のロンドン地下鉄を舞台に、その構内で起きる奇妙な
出来事を描いたイギリス製のスプラッターホラー映画。
主人公の女性は、パーティを抜け出して地下鉄で別の目的地
に向かおうとする。しかし駅のベンチで酔いが廻って眠って
しまい、目覚めたときには終電の出た後だった。しかも駅の
出入り口は施錠され、彼女は構内に閉じ込められてしまう。
ところがそこに無人の電車が到着し、彼女はそれに乗り込む
のだが…
この女性を演じるのが、『ラン・ローラ・ラン』などのドイ
ツ人女優のフランカ・ポテンテで、この作品でも走る走る。
主な舞台はチャリングクロス駅となるが、複雑に入り組んだ
地下駅の通路を、恐怖に追われながら逃げ惑うというのが大
体の物語だ。
この恐怖の元は、最近ではちょっと有り勝ちな感じのものだ
が、実はここにちょっと仕掛けがあって、ファンならニヤリ
とするオマージュにもなっている。これはキャラクターが登
場した瞬間からおや?と思わせるが、途中での演技でそれを
確信したものだ。
因に、このキャラクターの特殊メイクは“The Lord of the
Rings”のスタッフが手掛けたものだそうだ。
それは別としても、映画全体はスプラッターホラーの単目的
で、舞台設定や途中の仕掛けなども申し分なく満足できる。
最近では、『ザ・リング2』でも恐さを感じなくなった身と
しては、久しぶりに背筋がぞくぞくする感覚が味わえて嬉し
くもなった。
登場人物の設定も、さほどの違和感もなく納得できるし、特
に主人公や脇役たちが目立って馬鹿な真似もせずに、それで
も窮地に陥って行く展開は論理的でよく描かれていた。
チャリングクロス駅は以前にロンドンに行ったときに、乗り
換えなどで何度も乗り降りしたが、確かに乗り換えの時など
は通路が複雑で迷った記憶がある。
これは東京も同じだが、地下鉄の駅には何か非現実的な感覚
がつきまとう。この作品は、その非現実的な地下鉄駅の雰囲
気をうまく利用したもので、脚本監督のクリストファー・ス
ミスはこれが第1作のようだが、この調子なら次回作にも期
待したくなった。
それにしても、以前の映画でニューヨーク地下鉄の廃線・廃
駅を舞台にしたものがあったが、ロンドンの地下鉄にこれほ
どの廃駅があるとは知らなかった。東京も謎の地下構造物は
いろいろあるようだが、そういう場所での映画撮影は難しい
のだろうか。

『ヒトラー〜最後の12日間〜』“Der Untergang”
題名通りヒトラーの最後の12日間を描いた2時間35分の大作
で、今年のアカデミー賞外国語映画部門にもノミネートされ
た作品。
映画は、同原題のノンフィクションと、“Bis Zur Letzten
Stunde”と題されたヒトラーの元秘書で2002年に亡くなった
女性の回想録に基づいており、主にはこの女性の目を通した
地下要塞の内情が描かれている。
そこには、『ベルリン・天使の詩』のブルーノ・ガンツ扮す
るヒトラーや、エヴァ・ブラウン、それにゲッペルス、シュ
ペーア、ヒムラーらの要人やその家族もいて、戦況や崩壊寸
前のナチスドイツの将来に関するいろいろな議論が繰り返さ
れるが…
この地下要塞の内部は、ミュンヘン・ババリアスタジオに天
井も含めて正確に再現されたセットで撮影され、その閉塞感
や、手持ちカメラを用いた映像は臨場感を募らせる。また克
明に再現された人物の動きは、歴史の証人になったような気
分にもさせられるものだ。
一方、見事に造形された破壊されたベルリン市街は、サンク
トペテルブルグで撮影されているが、レニングラード攻防戦

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05月14日(土)
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