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On the Production
by 井口健二
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■ミリオンダラー・ベイビー、バス174、皇帝ペンギン、マイ・リトル・ブライド、初恋のアルバム、ザ・リング2、Little Birds
のだが、この中で、多分同じ営巣地でのペンギンの子育てが
紹介されていた。                   
ただしこの劇映画では、営巣地に現れるペンギンの到着シー
ンや、孵った雛鳥が外敵に襲われるシーンなどは捉えられて
いたが、今回の作品のような厳冬下のシーンはさすがに無か
ったように記憶している。そんな訳で僕は、ある種の懐かし
さも感じながらこの作品を見たのだったが、今回はその尋常
でない現実の厳しさに、改めて驚かされたものだ。    
なお、今回の作品では、ペンギンの夫婦と子供という設定で
の擬人化されたナレーションが付く。通常このような擬人化
されたナレーションでは、物語を盛り上げようとするのか感
情的になるものが多いが、本作のそれは、淡々とした口調の
中で学術的な内容も捉えつつ、しかもドラマティックに語ら
れているもので見事だった。              
それから、試写会の当日にはかなり幼い観客も来ていたが、
字幕版の作品に騒ぐこともなく鑑賞していたということは、
映像の見事さの現れといえるだろう。また、僕の席の近くに
は、南極でペンギンを撮影したこともあるというカメラマン
の人が座っていたが、この人の上映後の満足そうな笑顔も印
象的だった。                     
                           
『マイ・リトル・ブライド』(韓国映画)        
家が隣同士で、幼い頃から兄妹のように育ってきた16歳の高
校生の少女と、24歳の留学帰りの美大生の男子が、祖父の命
令で結婚式を挙げさせられる。しかも大学生は教育実習で彼
女の高校が赴任先となる。事情を知っているのは祖父の友人
の校長のみ。                     
おやおやどこかで聞いたような設定だが、それで観ないのは
食わず嫌いと言うもので、実際本作では、韓国の実情も踏ま
えてうまくアレンジされた作品になっていた。 
それに本作では、主人公の少女が自分の立場を全く自覚して
いなくて、野球部エースの先輩に憧れてデートを重ねたり、
いろいろなトラブルを起こしてしまうという、かなり無理な
展開となるのだが、それも何となく自然に描かれているのは
見事だった。                     
また、それぞれの両親の思惑や夫である大学生の微妙な立場
なども巧みに描かれている。もちろん特殊なシチュエーショ
ンで通常有り得ない設定のコメディなのだが、よく描き込ま
れた脚本が嫌みの無い作品に仕上げているという感じだ。 
なお、主演のムン・グニョンは、『箪笥』の主人公の妹役な
どを経て本作で初主演だそうだが、まさに妹役がピッタリと
いう雰囲気で、本作1本で韓国では会員8万人のファンクラ
ブができたということだ。相手役はテレビ出身ですでに人気
者のキム・レウォン。                 
また、監督のキム・ホジュンも本作が初の作品だが、東京・
千代田芸術大学映画科卒業で、誰にでも楽しめるシンプルで
“無害”な映画作りを目指すという監督自身の考え方は、本
作で見事に実践されている。              
監督の目指す通り、毒にも薬にもならない作品だが、見てい
る間は楽しめるし、さらに俳優が気に入ればそれで十二分と
いう感じの作品だ。                  
                           
『初恋のアルバム』(韓国映画)            
いがみ合う両親の下で、いっそ孤児の方が良かったと思って
育ってきた少女が、ふとしたことで両親の巡り合いの地を訪
れ、そこで両親の育んだ愛の姿を目撃するという、ちょっと
ファンタスティックな物語。              
主人公は郵便局に勤め、研修でニュージーランドへ行くこと
が決っているが、その直前父親が家出してしまう。その父親
は過去に友人に騙され、母親がこつこつ貯めていたお金も奪
われたことがある。そんな父親を母親は詰り倒して来た。 

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04月14日(木)
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