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On the Production
by 井口健二
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■リンダ・リンダ・リンダ、フォーガットン、デンジャラス・ビューティー2、リチャード・ニクソン暗殺を企てた男
するのだが、ちょっと空回りの感じは否めない。ただし、そ
ういうことは別にすると、いろいろなギャグは結構楽しめる
作品だった。
例えば前作に引き続き登場のウィリアム・シャトナーは、登
場するなり長年の相棒が…という発言。ここでトレッキーな
ら、「誰のことだ」と突っ込みたくなる。そんな楽屋落ちも
含めたギャグが満載なのだ。
従って、そういうことが気持ち良く楽しめる人には、それな
りに楽しめる作品になっていると思う。まあそういうことが
楽しめない人には、ここは遠慮してもらうことにしよう。
前作はマイクル・ケイン、キャンディス・バーゲンという大
御所2人が出演した作品。これに対して本作には、そんな大
御所は登場しない(ケインは出たがったようだが…)。つま
りそんな規模の作品な訳で、映画ファンならその点は認識し
て楽しみたいところだ。
『リチャード・ニクソン暗殺を企てた男』
“The Assassination of Richard Nixon”
ショーン・ペン、ナオミ・ワッツ共演で、実話からインスパ
イアされた物語という社会派ドラマ。恐らくは優しすぎる性
格が禍して、人生何をやっても失敗続きの男が、追いつめら
れた挙げ句に大統領暗殺を決意する。
ペンとワッツの共演は『21グラム』に続くものだが、前作
は、理解はするが内容的にどうにも好きにはなれない作品だ
った。それは、ペンがオスカーを獲得した『ミスティックリ
バー』も同じで、ペンはどうも僕の性に合わない俳優という
感じになっていた。
そんな心境で見た本作だったが、この作品のペンは前の2作
ほど嫌な感じではなかった。はっきり言って、人生が狂って
しまった責任は本人にもあるのだが、映画を見ていて、あの
時代なら仕方なかっただろうと思わせる、そんな親近感も感
じてしまった。
政府が大声で言い続ける政策が、実は口先だけで、全く民間
の役に立っていない。そんな今も変らぬ状況が1970年代にす
でに始まっていた。そんなことが明白に描かれる。それは映
画の中ではニクソン批判なのだが、ブッシュに言い換えても
全く違和感がない。
それにこの状況は、今の日本も全く同じな訳で、映画の中の
ニクソンは、そのまま小泉と言い換えることもできそうだ。
なおペンは、オスカー受賞作ではクリント・イーストウッド
監督作に出演していたので、多分共和党支持者だと思うのだ
が、本作のニクソン批判振り、そしてそれがブッシュにも繋
がるような描き方は、ちょっと意外な感じもした。
なお、映画はウォーターゲート事件の捜査が始まる辺りで終
ってしまうが、実はニクソンが辞任したときに僕はちょうど
アメリカにいて、新聞の号外なども手に入れたものだ。そん
な時代背景の作品ということでも、親近感が沸いたのかも知
れない。
当時のアメリカのちょっと荒廃しかかった雰囲気も、うまく
描かれていたように感じた。
03月31日(木)
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