ID:47635
On the Production
by 井口健二
[459593hit]

■最後の恋のはじめ方、フィーメイル、コンスタンティン、ZOO、レモニー・スニケットの世にも不幸せな物語、ブレイド3、帰郷
そして本作では、地獄の描写から現世に現れる地獄の使者た
ちの姿までが、満載のVFXで見事に描き出される。その映
像にリーヴスの姿がよく似合っていた。『マトリックス』の
評価は、最後の最後で大幅に下落したと思うが、リーヴスに
はその失地回復の意志も感じられた。          
リーヴス自身は、別段このようなVFXに頼る作品に出続け
る必要はないと思うのだが、その彼が1年足らずで再びこの
ような作品に挑戦してくれた心意気にも感謝をしたい。  
ただ、映画全体が余りに暗いのは気になる。テーマがテーマ
だから仕方ない面はあるが、ワーナーの最近の作品は、『キ
ャットウーマン』にしてもちょっと暗くしすぎている感じが
した。ただし、これは『バットマン』復活への布石と考えれ
ば良いのかもしれない。それなら、次は『スーパーマン』だ
から、それまでには明るくなってくれると思いたい。   
なお、「ハーフ・ブリード」という言葉が、字幕にも片仮名
でそのまま出てくる。一応、日本語の訳語もある言葉だが、
映画では片仮名のままで定着させたい意向らしい。意味が判
った方が、映画も理解しやすいと思うのだが。      
                           
『ZOO』                      
乙一作の同名の短編集から、新鋭監督やCM作家、CGアニ
メーターらが競作したオムニバス作品。         
作品としては、『カザリとヨーコ』『SEVEN ROOMS』『陽だ
まりの詩』『SO-far』『ZOO』の5作が映画化され、前後の
2作ずつが実写、真中の作品がCGアニメーションによる映
像化となっている。                  
内容はそれぞれ、一方が母親に愛され、他方が疎まれている
双子の姉妹の話。7つ並ぶ部屋に閉じ込められ、順番に殺さ
れるのを待つ女性たちの物語。製作者を埋葬するために作ら
れた少女ロボットの話。母親と父親が互いの存在を否定する
家庭で暮らす少年の話。廃園の動物園を訪れたことから始ま
る男女の奇妙な関係を描いたお話、というものだ。    
僕は原作を読んではいないが、特に前半の3作品、CGアニ
メーションまでの作品の感性には心地よいものを感じた。こ
れに対して、後半の2作はちょっと在り来りな感じがした。
これらを不条理劇として面白く感じる人はいるのかも知れな
いが、僕には今更の感じがしたものだ。         
それに比べて前半の3作には、それぞれに物語を伝えようと
する意欲が感じられた。短編映画というのは、どうしても語
り口が舌足らずになりがちだが、この3作はそれを見事に伝
えている。その意味で、僕はこの前半の3作を好ましく思う
ものだ。                       
また、前半の3作がそれぞれ物語として登場キャラクターに
対する愛情が感じられるのに対して、後半の2作にそれが感
じられないことにも違和感を持った。もっとも、これは最近
の一般的な風潮のようにも感じられるものだが。     
                           
『レモニー・スニケットの世にも不幸せな物語』     
  “Lemony Snicket's A Series of Unfortunate Events”
原作はすでに11巻刊行され、その全巻が児童書の全米ベスト
セラーリストに登場したという人気シリーズからの映画化。
題名通り、主人公の子供たちは次々に不孝の奈落に突き落と
され、それを克服する。その繰り返しの物語だが、この不孝
が手を替え品を替えて本当にシリーズで襲いかかってくると
共に、それを子供たちが知恵と勇気で見事に克服するのが見
所になっている。                   
そして、その不幸の元凶となるのが、ジム・キャリー扮する
オラフ伯爵。これがまた性懲りもなくいろいろな手を打って
くるのだが、その手立てというのが結構理にかなっていて、
子供だましでないところが凄い。            

[5]続きを読む

02月28日(月)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ

[4]エンピツに戻る